【一般質問】肺がん検診について

【一般質問】肺がん検診について

2018年7月、杉並区の検診を受けた40代女性が肺がんを見落とされ死亡した。 (1)戸田市の肺がん検診の現状について。 (2)肺がん検診のさらなる推進について。

肺がん検診について。

 2017年にがんで亡くなった方は、全国で37万3,334人で、全死亡総数の27.9%を占め、1981年以降、実に36年間連続で死亡原因のトップとなっております。そして、がんの中でも最も死亡数が多いのが肺がんで、毎年7万人以上の方が死亡しております。

 昨年6月、杉並区の肺がん検診で、委託先のクリニックががんを見落とし、40代女性が死亡するという問題が起きました。参考資料④、杉並区40代女性の肺がん検診問題の経緯の表をごらんください。この女性は、2014年7月と2015年7月に職場の検診で、2018年1月に区の肺がん検診で、同クリニックにて胸部エックス線の検査を受け、いずれも異常なしと判定されましたが、2018年5月に呼吸困難などで他院に緊急搬送され、転院先でがんと診断、同年6月に死亡。クリニックと区、区医師会は、7月に女性のがん見落としを公表しました。

 今回の問題を受け、杉並区では、肺がん検診のエックス線画像判定の仕方を変更し、これまで同一の利用期間内で2回の読影を実施していた制度を廃止し、1回目を医療機関で読影、2回目を杉並区医師会が読影し、総合判定を行う仕組みに来年度より変更。読影機器増設や検診システム改修など、がん検診の精度管理強化を行うため、平成31年度予算案に3,464万円を計上。また、同クリニックに対し、2014年9月以降の区の肺がん検診にかかわる胸部エックス線画像の再調査を要請したところ、9,424件中44件が新たに要精密検査となり、そのうち2人が肺がん、3人が肺がんの疑いと指摘されました。さらに、この肺がんと指摘されたうちの1人である70代男性が、先月がん検診を行った杉並区とクリニックを相手取り、約1,600万円の損害賠償を求める訴訟が起きました。

 こういった杉並区の事例があった肺がん検診ですが、戸田市は大丈夫でしょうか。戸田市の肺がん検診の現状と、さらなる推進についてお伺いいたします。

◎吉野博司 福祉部長  2、肺がん検診について、(1)本市の現状についてお答えいたします。

 本市の肺がん検診は、国の指針に基づき、40歳以上への胸部エックス線検査、及び50歳以上で喫煙年数及び喫煙本数が一定以上の人へ喀たん細胞診を実施しております。平成27年度の肺がん検診受診者数は1万1,365人、そのうち要精密検査と判定され、精密検査の結果、がんが発見された人数は3人、そのうち初期がんはゼロ人でした。平成28年度の受診者数は1万1,154人で、がん発見者数は6人、そのうち初期がんは2名でございました。平成29年度の受診者数は1万1,107人で、がん発見者数は平成31年度の集計となります。なお、本市の肺がんによる死亡者数は、平成29年度においては68人となっております。

 また、平成30年度予算では、肺がん検診委託料として約4,300万円を計上しております。1人当たりの検診費用はおおむね3,800円、市民の自己負担額は300円として実施しております。

 続きまして、(2)肺がん検診のさらなる推進についてお答えいたします。

 まず、議員からお話がございました杉並区の事例と比較した、本市の肺がん検診実施体制について御説明申し上げます。本市の場合、胸部エックス線検査については、検診をした医療機関による一次読影後に、蕨戸田市医師会の十分な経験を有する医師で構成される読影委員会により二次読影が行われる、二重体制で実施しております。また、この読影委員会での二次読影は複数の医師により診断しており、できる限り正確な診断が行われるような体制となっております。肺がん検診の重要な点は、胸部エックス線検査における読影にあります。今回の杉並区の事例のように、発見できたはずのがんの見落としをできる限り防ぐため、引き続き医療機関及び医師会の先生方の協力を仰ぎながら、現在の読影体制の維持に努めてまいります。

 また、がん検診のさらなる推進に向け、本市では、検診対象者全員への通知や一部の検診未受診者へ勧奨案内を実施しております。さらに、毎年がん啓発イベントを実施しており、今年度は、戸田市健康福祉の杜まつりにおいて、肺がんに限らず、来場者にがんの早期発見・早期治療の大切さを啓発したところでございます。

 肺がん検診の受診状況は、先ほど申し上げましたが、わずかに減少傾向にあります。検診受診者増加のため、今後は、各種通知のレイアウトの工夫や勧奨通知者の拡大等により、より一層のがん検診の周知に取り組んでまいります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。戸田市では、既に一次読影は検診実施医療機関、二次読影は蕨戸田市医師会が行う二重体制を実施しているとのことでした。

 参考資料⑤「戸田市の肺がん検診と死亡数」に戸田市のがん検診の現状をまとめております。戸田市では、約4,000万円で委託し、毎年約1万1,000人前後が検診を受け、3名から5名の方の肺がんが見つかり、そのうちの半数以上がステージ2と診断される。また、肺がんによる死亡数は年間50から60名とのことです。

 それでは再質問いたします。杉並区の問題があったクリニックの第三者特別調査委員会がまとめた調査報告書で、クリニックの組織的問題もさることながら、より根本的には、胸部エックス線検査を用いた肺がん検診という制度そのものに大きな問題があるとの結論に達したとの最終報告を発表しました。

 現在、日本の肺がん検診は、胸部エックス線検査が主流となっております。しかしながら、感度の悪い胸部エックス線で早期の肺がんを見つけることが難しいことは医学界では常識となっており、近年は分解能が高く、被爆量を通常のCTの10分の1に抑えた低線量CTでの肺がん検診を行う施設がふえております。

 参考資料⑥の「胸部X線と低線量CTの画像」をごらんください。丸い点線内の白い部分が肺がんです。左側の胸部エックス線では画像の感度が悪く、白い部分が見づらくなっております。胸部エックス線は、2センチ程度の肺がんにならないと映らない、肺の約3分の1は、近接する心臓や血管、横隔膜、骨などの臓器と重なり、死角になって見えない、撮影時の姿勢や圧迫ぐあいで画像が変わってしまうなどの欠陥により、多くの早期がんを見落としてしまうと言われております。それに対して、右側の低線量CTでは白い部分がわかりやすくなっております。輪切りの薄い断面像で撮影するため、重なりや死角が少なく、圧倒的な解像度により、5ミリ程度の早期がんを発見することができます。

 参考資料⑦「胸部X線と低線量CTの比較」をごらんください。検査時間は、エックス線は二、三分程度、CTは5分から10分程度。費用は、エックス線は約4,000円で、検診だと自己負担で300円、CTは約1万円。見つけられるがんの大きさは、エックス線は2センチ以上に対し、CTは5ミリの肺がんを見つけられます。低線量CTの肺がん発見率は、胸部エックス線の約10倍と言われ、被爆量はエックス線0.2ミリシーベルトに対し、CTは10倍の2ミリシーベルトで、これは、胃の検診のバリウムより少ない被爆量になります。

 このように、エックス線で見つかる肺がんは2センチ以上のため、通常の検診で発見されたときには、肺がんのステージ2以上となっていることが多くなってしまいます。

 参考資料⑧「がん検診による早期発見率と5年生存率」の表をごらんください。これは、戸田市で検診を行っている肺がん、大腸がん、胃がん、乳がん、前立腺がん、子宮頸がんなど、6つのがんをまとめたものです。肺がんの欄を見ると、死亡数は7万4,120名で、がんの中でも最多。見つかったがんのうち、早期のがんであった割合である検診早期発見率は33.3%で、一番低くなっております。ステージごとの5年生存率では、肺がんのステージ1は81.8%ですが、ステージ2になると一気に生存率が下がり、48.4%。ステージ3は21.2%。ステージ4になると4.5%と、ほかのがんの生存率と比較しても圧倒的に低い数値です。

 これらのことから、肺がんは、がんの中でも最も死亡数が多く、ステージ2以降の生存率が最も低く、早期に発見されなければ治らないがんであるのに、胸部エックス線という、早期発見が困難で、見落としやすいがん検診を行っているというのは、とても矛盾しているように感じます。

 今回の杉並区の事例でも、第三者委員会に参加した放射線専門医は、2018年1月の検診は見落としと言われても仕方ないが、2014年と2015年の検診のエックス線画像では、異常印影は区別がつきにくく、必ずしも見落としとは言えないとの見解を示しました。専門医によると、2014年の検査が低線量CTであれば、早い段階で肺がんを見つけることができ、早期治療に移れたのではといった御意見もありました。全国でも国の指針から離れ、低線量CTを用いた肺がん検診を導入している自治体はふえ続けております。2017年9月の調査によると、全国で235の自治体、13.6%が胸部CTを集団検診、個別検診いずれかで実施しており、死亡率減少効果の出ている自治体も多くあります。

 低線量CTによる検診をいち早く導入した日立市では、平成13年度からCTを検診に加え、住民が選択できる方式を開始しました。平成30年度の予算は補助金として2,700万円、50歳以上の方を対象に、約1枚のCT検診を、5歳ごとの節目年齢に自己負担1,000円で受けることができます。死亡率減少効果も報告され、現在は5年ごとの受診を勧めております。戸田市においても肺がん検診に低線量CTを導入するべきだと考えますが、市のお考えをお伺いいたします。

◎吉野博司 福祉部長  低線量CT検査の導入についてお答えいたします。

 市町村が実施するがん検診は、対象全体の死亡率減少を目的に、公共的な予防対策として実施するものでございます。そのため、実施に当たっては科学的に有効性が確立しており、利益が不利益を上回る方法で行うことが条件となります。国はこの点を踏まえまして、各がん検診における実施方法を示した指針を作成しております。肺がん検診の場合、国の指針では胸部エックス線検査が推奨されております。

 低線量CT検査は、厚生労働省研究班による平成18年度発行の有効性評価に基づく肺がん検診ガイドラインによりますと、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、市町村が実施するがん検診として推奨しないとされております。また、胸部エックス線検査と比較しまして、低線量CT検査は被爆量が高いことや、生命に影響のないがんを発見、治療することで、経済的・身体的・心理的に大きな負担を及ぼす過剰診断の問題があり、不利益が利益を上回る可能性があるとの指摘がございます。そのため、肺がん検診における低線量CT検査は国の指針に規定されておりません。このことから、現状では、低線量CT検査の導入は、慎重に検討すべきと考えております。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) 低線量CTは、国のガイドラインにおいて、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、市町村が実施するがん検診として推奨していない。また、エックス線と比べ、被爆量が高い。また、過剰診断の問題があるとのことでした。この3点について、改めて御説明いたします。

 まず、国のガイドラインについてですが、そもそも胸部エックス線による肺がん検診を推奨しているのは日本のみです。日本の肺がん検診は、結核検診により胸部エックス線が普及していたことを背景に、老人保健法のもと先行して推進され、エビデンスや死亡率減少効果などは、後づけで自国内の研究を証拠としております。国のガイドラインによると、胸部エックス線は、肺がん死亡率減少効果を示す相応な証拠があることから、対策型検診、任意型検診として推奨、低線量CTは、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対応型検診としては非推奨と記載されております。

 しかし、この肺がん検診の国の指針の根拠となっているのは、先ほど答弁にもありました、約13年前の2006年に発表された有効性評価に基づく肺がん検診ガイドラインです。この報告において、胸部エックス線については、死亡率減少の効果が見られた国内での4つの症例対象研究を根拠としておりますが、症例対象研究は、比較群を何にするかで結論は何とでもなるといった専門家の御意見もあります。

 世界的に有名な臨床医向けのマニュアルである「UpToDate」には、過去7つの大規模臨床試験全てにおいて、胸部エックス線の効果が見られなかったとして、胸部エックス線検査と喀たん細胞検査を用いた肺がんスクリーニングは推奨しないと明記されております。特にこの大規模臨床試験のうち6つは、RCTという、被検者を無作為に張りつけるランダム化比較対照試験で、症例対象研究と比較しても最高のエビデンスレベルの臨床研究です。こういったことからも、エックス線自体も死亡率減少効果を示す科学的根拠が不十分だとの御意見も多くあり、アメリカを初めとした世界標準となっております。

 低線量CTについては、国において推奨しないとのことになっておりますが、これは、ガイドラインが発表された13年前の2006年当時、低線量CTについての臨床試験が少なかったため、結論を保留しているためで、その後、低線量CTにかかわる臨床研究成果は幾つも発表されております。

 参考資料の⑨、肺がん検診における低線量CTの研究の表をごらんください。こちらは低線量CTに関するエビデンスの高い近年の大規模臨床試験をまとめた表です。アメリカで2011年に発表されたNLSTでは、5万3,454人を対象にランダム化比較対照試験、RCTを行い、胸部エックス線検診よりCT群で約20%の肺がん死亡率減少効果があったと報告されました。オランダで2018年に発表されたNELSONでは、1万5,822人を対象にRCTを行い、26%の男性肺がん死亡率減少効果があったと報告されました。

 日本においても、ことしCT検診を導入している日立市で3万3,483人のコホート研究が発表され、胸部エックス線検診よりCT群で約24%肺がん死亡率減少効果があったと報告されております。また、現在も「JECS Study」という2万7,000人を対象としたRCTが日本で進行中です。このように、低線量CTについての有効な研究はなされておりますが、13年間たった今も国の肺がん検診のガイドラインは放置されたままです。

 次に、被爆量についてです。参考資料の⑦にも記載しておりますが、低線量CTは、普通のCTに比べ、被爆量が10分の1になっており、これは、胃がん検診のバリウム検査より少ない値となっております。今も技術の進歩により、低被爆かつ高精度の検査が可能となっております。また、専門家の御意見では、年1回のエックス線より、CTを5年に1回受けるほうがよいというお話もございます。

 最後に、過剰診断についてです。過剰診断は、若年層の甲状腺がんや高齢者の前立腺がんなどで問題に上がりますが、本来、治療しなくても、症状を起こしたり死亡の原因になったりしない病気を診断することで、早期発見、早期治療がデメリットになる例です。がんと寿命は、どちらが先に来るかといったもので、誤診とは違い、現在の検査では特定できず、検診が高精度になるほどふえてしまいます。

 しかしながら、参考資料の⑧に記載しているとおり、前立腺がんの5年生存率は、ステージ3でもほぼ100%、甲状腺がんにおいても同じぐらいの生存率です。それに比べ、肺がんは、ステージ2で5年生存率が48.4%と低く、早期発見率も33.3%と低過ぎる精度であり、過剰診断を検討する前に、早期発見率を上昇させなければならないと感じております。

 また、過剰診断を減らすには、ハイリスク群を選定し、受ける方を限定するということも重要となります。特に肺がんは、喫煙者や高齢者などハイリスク群を選定しやすいがんで、肺がん検診の世界的標準は、ハイリスク集団に限定した低線量CTとなっております。本当に効果のある検診がこのままでよいのでしょうか、国の指針のままで本当によいのでしょうか。ハイリスク集団に対し、低線量CTの推進ができないか、お伺いいたします。

◎吉野博司 福祉部長  近年、アメリカ等の海外における研究により、ハイリスク者への低線量CTの効果について報告が出されております。国は、この研究に対し、平成25年度に開催されたがん検診のあり方に関する検討会におきまして、ハイリスク者以外への低線量CT検査は過剰診断の問題があること、ハイリスク者への実施効果についても複数の研究結果を待つ必要があることを指摘しております。このことから、国は、海外の研究を踏まえた上で、現在もハイリスク者へは胸部エックス線検査と喀たん細胞診の併用を推奨しております。

 市といたしましては、国の指針が検診の実施基準と考えておりますので、現状では、ハイリスク者に対する低線量CTの推進は、慎重に検討してまいります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) 最新の海外における研究については、平成25年度、国のがん検診の検討会で指摘があったとのお話ですが、この検討会自体、5年以上前のものです。さらに、議題のメーンテーマは放射線技師の体制の見直しであり、CTの資料はおろか、議論もほとんどありません。検討会では、肺がん検診の見直しも、CT検診の導入の是非も含めて、数年以降に再度行うことになろうかと思いますといった指摘もあり、これをもとに、国が最新の研究を踏まえた上で、現在の検診を推奨しているとは言えないかと思います。しかしながら、私自身、国の対応を遅く感じており、それが肺がん検診の根本的な問題だと感じております。

 さて、改めて再質問を行います。市の行っている胸部エックス線による肺がん検診について、市民の皆様が検診に対して過剰な期待を抱いてはいないかと懸念しております。私自身、今回質問で肺がん検診を取り上げる前までは、市の検診を毎年受診し、陰性ならば、健康上、何も問題はないと考えておりました。しかし、先ほど参考資料でお話ししたとおり、胸部エックス線検査では、多くの早期肺がんが見逃されてしまうという事実があります。肺がんの生存率の低さなど、市民の皆様に周知されていなければ、大変問題かと思います。日ごろ喫煙をしている方が、検診で陰性であったからと楽観的にふだんの生活を続け、ある日突然、ステージ2以上のがんが見つかるといったことも想像してしまいます。

 そこで、再質問いたします。まず、肺がんの胸部エックス線検査による早期がん発見率の低さや死亡率減少効果、がんがあるのに検診で陰性と診断された方の割合である偽陰性率への市のお考えは。また、肺がん検診について、過剰な期待をせず、正しく市民の皆様に理解していただくためにも、がんの説明や低線量CTのメリット・デメリットなどが含まれたチラシを配布するなど市民に周知を行い、適切に説明が必要ではないでしょうか。市の御見解をお伺いいたします。

◎吉野博司 福祉部長  胸部エックス線検査に対する市の考えでございますが、どのような検査方法でも精度に限界がございます。胸部エックス線検査は、国によって効果が認められた方法でございますが、それでもがんを100%見つけられるわけではございません。がんがあるのに見つけられない偽陰性の可能性や、逆に、がんでないのに要精密検査と判定される偽陽性の可能性がございます。本市では、この可能性について、個別通知の封筒裏面に記載するとともに、がん検診注意事項の説明文にも記載しているところでございます。

 また、低線量CT検査による肺がん検診は、国による死亡率減少効果の確認が得られていないことから、市の立場からチラシを配布する等の積極的な周知活動を行うことは難しいと考えております。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) 検診の封筒と書類を事前にお見せいただきました。封筒と書類には、「がん検診には限界があり、100%がんが見つかるわけではありません。検診では、がんではないのに要精密検査と判定される場合や、がんがあるのに見つけられない場合もあります」といった記載があるのみで、正直、責任問題を回避するための最低限の記載というふうに感じられました。肺がん検診の早期発見率は33%程度です。これを読んだ方が肺がん検診について正しく理解し、過度な期待を持たないようになるのでしょうか。

 国の指針で推進していないのは、あくまでも自治体の対策型検診についてです。個人の任意型検診については、低線量CTのメリット・デメリットを理解した上で受診することを妨げないとされております。がんの基本情報や検査方法の中で周知することは、また別の問題かとも思います。

 さて、杉並区の肺がん検診の問題の記者会見において、田中良杉並区長は、区の検診には20億円かかっている、医師会、実施機関に丸投げ状態でやられてきたのではないかと私自身は思っていて、非常に残念と述べました。戸田市でも、肺がん検診には約4,300万円の予算が注ぎ込まれています。戸田市は、これまで国の指針以外のがん検診をいち早く進めてきた実績があります。国の指針に沿わないという理由だけではなく、改めて戸田市として積極的に情報を集め、現在の検診が本当に有用なものなのかを検証していただきたいと考えております。

 これまで国の指針以外で導入したがん検診の経緯と、今回の肺がん検診の違いについてお伺いいたします。

◎吉野博司 福祉部長  現在、本市では、指針外のがん検診として前立腺がん検診を実施しておりまして、胃内視鏡検査についても、指針に記載される1年前の平成27年度から導入しております。経緯といたしましては、前立腺がん検査については血液検査であり、身体的負担が少ないこと、結果が数値で出るため、医師によって判定の差がないこと、検査費用が安価であることから、蕨戸田市医師会と調整を行った結果、実施することとなりました。また、胃内視鏡検査につきましては、国において、近い将来指針に追加される動きがあったこと、医師会との調整において実施体制が整ったことから実施することとなりました。

 このような経緯で実施したところでございますが、肺がん検診における低線量CT検査は、被爆量や過剰診断の観点から身体的負担が大きいこと、現状では国の指針に追加する動きがないこと、前立腺がん検査及び胃内視鏡検査とは状況が異なるものと考えております。今後、科学的根拠及び検診受診の利益と不利益のバランスを考慮しながら、がん検診を推進してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) 国の指針については、参考資料⑨にも記載している、日本のJECSという研究結果を待つ方向かもしれません。その場合、研究には10年以上かかりますので、対応がとても遅くなる可能性もあります。

 現在、杉並区に対し、肺がん見逃しに対して損害賠償を求める訴訟が起きております。これは氷山の一角であり、何も杉並区に限ったことではありません。肺がんになった方が自治体の検診を受けているかどうかを確認するだけで、見落としとして訴訟が起きる可能性もあります。何より市民の健康のためにも、肺がん検診の見直しは大変重要だと考えております。

 肺がんの手術には、胸腔鏡手術があります。この手術は、傷口7センチと2センチで、術後は4日で退院できるという、痛みとダメージが大変少ない手術ですが、ステージ1以下の早期発見の肺がんでしか受けることができません。また、「肺がん検診受診率向上が死亡率及び医療費に及ぼす影響の検討」という論文では、ハイリスク対象者には低線量CT検査を行い、早期がんには胸腔鏡手術を行ったとした場合の検診受診率が死亡率と医療費に及ぼす影響を試算しております。これには早期発見率向上に伴い、国民所得の増加が期待されるという報告もされております。

 ことし2月、日立市で日本CT検診学会学術集会が開催され、低線量CT検診の普及に向けた日立宣言2019が発表されました。この宣言では3つの活動方針を示しました。1つ目が、肺がん早期発見のための低線量CT検診に関する正しい情報を発信し、啓発活動に取り組むこと。2つ目に、がん検診にかかわる医師、診療放射技師、保健師、看護師、行政担当者など関係者、各種関連企業及び団体との連携に努めること。そして3つ目に、国行政への政策的提言を行うことと記載されております。

 日立市を初め、各自治体で低線量CTの導入が進んでおります。どの検診が一番効果があるのか、何が市民にとって最良の選択か、市としても、他自治体や医療関係者の方々から情報収集や検証を進めていただきたく感じております。これは要望とさせていただきます。

 以上で私の件名2の質問を終了いたしまして、私の一般質問を終了いたします。