2018年にはシニア層のスマートフォン利用率は6割を超え、国によるキャッシュレス決済の推進など、さらなる社会のデジタル化が進められている。
(1)シニア層へのスマートフォン等の支援について。 (2)LINEを活用した自治体行政について。
◆1番(矢澤青河議員) 戸田の会の矢澤青河です。通告に従いまして一般質問いたします。
まず、件名1、スマートフォンなどの施策について、(1)シニア層などへのスマートフォンなどの支援について。2018年には、シニア層のスマートフォン利用率は6割を超え、国によるキャッシュレス決済の推進など、さらなる社会のデジタル化が進められております。私自身、地域の方からスマホなどの使い方を聞かれることもたびたびあり、多くのシニアの方がそういう相談の場を求めていると感じましたので、今回、一般質問をさせていただきました。
さて、国においては、本年5月に行政手続を原則電子申請に統一するデジタルファースト法が参議院本会議で可決、成立しました。このデジタルファースト法には、行政手続のオンライン実施の原則化や、引っ越しに伴う電気、ガスなどの契約変更のネット一元化、死亡や相続の手続も順次オンラインへ移行することなどが盛り込まれ、今後の電子政府化の実現に向けた行政のデジタル化が推進されております。さらに、国は、他国よりおくれているキャッシュレス化について積極的な施策を進め、消費増税に合わせたキャッシュレスの大規模なポイント還元なども行われております。
こういった急速なデジタル化の一方で、高齢者などのデジタルデバイドの課題が無視できなくなっております。デジタルデバイドとは、パソコンやスマホ、インターネットなどの情報技術を利用できる層とできない層との間に生じる格差のことです。スマホなどを利用できない方は、先ほどお話しした消費増税に合わせたキャッシュレスのポイント還元やオンラインの行政手続などが利用できず、情報においても弱者となり、ICTの恩恵を受けることができません。恩恵を受けるために、いざスマホを始めようとしても、基本的な端末の操作方法はキャリアショップなどで教えてもらえますが、個々のアプリの使い方やネットリテラシーなどを教えてもらう場所は多くなく、近年のスマホなどによる巧妙な詐欺、迷惑メール、アプリ内料金をめぐるトラブルなど、高齢者のネットトラブルの急増もあり、シニア層のスマホデビューや、使いこなすハードル、危険性などは高くなっております。
こういったデジタルデバイドの解消のために、ことし3月に総務省及び厚生労働省は、「デジタル活用共生社会実現会議」報告書を発表しました。この報告書には、高齢者の生きがい、再活動の場の創出や障害者の社会参画、男女共同参画、多文化共生といった課題解決を目指すため、デジタル活用支援員や地域ICTクラブ、障害者当事者参加型技術開発の推進、テレワークなどの環境整備、情報アクセシビリティーの確保、多言語対応・オープンデータなどの推進などの支援施策が盛り込まれております。この中のデジタル活用支援員は、現在のICT講習実施者や消費生活、家電やキャリアショップ店員、地域住民などを活用員として任命し、地域でICTの活用体制づくりを整備する事業であり、今年度の国の当初予算において5,000万円が計上されました。今後は、このような地域の方ややる気のあるシニアの方がスマホの使い方を教える体制が期待されます。特にスマホの一般的によく使われる機能、検索や通販、電話、メール、LINE、写真などに限定してマニュアルを準備すれば、誰でも教えることが可能になるかと思います。
また、他自治体では、シニアを初めとしたスマホを使いこなせない方向けに、スマホ教室を開いている自治体もございます。そのほか、民間においては、キャリアショップであるKDDIで、自治体と連携したシニア向けの「KDDIスマホ・ケータイ安全教室」を開催しております。この講座には、スマホ購入前の基本操作などを学びたい方向けの基礎講座や防災対策、消費生活センター向けの詐欺対策を学ぶ講座などのメニューが準備されています。
現在、市では、公民連携ファームを開設しましたが、このように民間との連携により、スマホなどの講座を開くなど、デジタルデバイド解消のための施策を実施してみてはどうでしょうか。また、あわせて、現状、スマートフォンなどの使い方について、市として講座などは実施しているのでしょうか、お伺いいたします。
続いて、(2)LINEを活用した自治体行政について。LINEは主なSNSサービスの中で日本で最も利用率が高く、国内ユーザー数は、ことし4月時点で8,000万人を超え、そのうち約8割のユーザーが毎日LINEを利用しています。全国的にこのLINEを利用した相談窓口が広がっており、昨年、戸田市においても、教育分野でLINEと連携協定を締結し、ことし8月より「SNS心の相談窓口@とだ」が始まりました。
さらに、このLINEにおいては、企業や店舗、自治体などが利用できる公式アカウントというものがございます。参考資料をごらんください。こちらは横手市と福岡市、真岡市のLINE公式アカウントです。横手市では、各分野の情報や最新情報、フェイスブックや動画、ホームページのボタンが設置されており、LINEから各種情報を見ることができ、定期的にイベント情報など、メッセージ送ることもできます。福岡市は、特にLINEに力を入れており、緊急時の情報やイベント情報、相談窓口、道路、公園等の通報が可能となっているほか、転入、転出や引っ越し、証明書の発行などがLINEから行うことができます。特にこの道路、公園等の通報は、tocoぷりの機能と同様に、道路などのふぐあいを市に直接通報できるサービスです。道路、河川、公園などのカテゴリーを選択し、車道、側溝、照明等の詳細を選択、日時と位置情報を送信することで、その後に写真を送信、状況説明を選択、または入力して通報終了という流れで、写真や位置情報をリアルタイムに通報できるサービスで、市民が通報しやすく、職員も情報の確認がしやすいサービスとなっています。
また、真岡市では、現在、戸田市でも利用しているAI総合案内サービス「おとうふくん」のLINE版を利用しております。現在、戸田市のホームページからしか利用できないおとうふくんを、LINEアプリからワンタッチで利用できるようになります。
このように、LINEは、さまざまな使い方が可能で、情報発信、道路等通報システム、ごみ分別、粗大ごみ受付Bot、市川市の住民票申請やAI総合案内サービス、相談窓口やLINEスタンプ、また、LINE Payなどのキャッシュレス決済も可能となっています。ホームページやフェイスブック、相談窓口など、多くの情報を集約することが可能となっております。
さらに、このLINE公式アカウントですが、LINE株式会社は、ことしの5月に地方公共団体プランとしての提供を開始しました。これにより、LINE公式アカウントが、市で利用する場合は、基本、無償で利用が可能となっております。これまでの自治体アプリは、独自アプリ、戸田市においてはtocoぷりなどが基本的な形態でしたが、しかし、独自アプリは、アプリをダウンロードして継続的に利用してくれる、コアなファンやブランド力のある団体に有効なツールです。例としてはマクドナルドやユニクロ、アマゾン、無印など、ふだん使いされなくなった瞬間に、アプリ自体、削除されてしまう可能性がございます。しかし、LINE公式アカウントは、アプリをダウンロードしてくれない幅広いミドルユーザーが強みであり、独自アプリと比較して、友達追加やQRコードから、簡単に追加が可能です。LINE自体、ふだんから使われているため、アプリのダウンロードの手間も、削除されることもございません。
以前、tocoぷりに関する一般質問において、一般的なアプリは、ダウンロード後1週間でアプリ自体削除され、約8割は利用しなくなる。アプリの効果検証にはダウンロード数だけでは指標にならず、アクティブユーザー数や継続率、閲覧数など分析する必要があると要望しましたが、tocoぷりではシステムの仕様上、分析することが困難でした。しかし、今回のLINEの場合は、フォロー数やブロック数などが常時、確認可能で、例えばブロック数が多い月は、情報発信の頻度を変えるなど、効果検証が柔軟に可能となります。
現在、戸田市では、ホームページやtocoぷりを利用した情報発信や道路等通報、動画配信、AI相談総合窓口、教育委員会における相談窓口などを行っておりますが、こういったものをLINEを通して集約や統合が可能となっております。もちろんさまざまなSNSの媒体を併用し、相互に運用することで情報発信の相乗効果も期待されます。
以上、LINEを活用した自治体行政の御研究等を検討されてはいかがでしょうか。
以上、よろしくお願いいたします。
◎山本義幸 総務部長 まず、件名1、(1)シニアへのスマートフォン等の支援について、民間事業者の講座を活用してシニアのスマートフォン利用に係る支援を行ってはとの御質問に、公民連携の観点からお答えいたします。
本市では、民間事業者のノウハウを活用し、市民サービスの向上や行政の効率化を図るため、本年6月、公民連携専用窓口「公民連携ファーム」を開設いたしました。公民連携ファームでは、特にテーマを設定せず、民間事業者の自由な発想を求めるフリー型と、特定の行政課題に関する提案を受け付けるテーマ型の提案募集を行っております。議員御提案の携帯電話会社のスマートフォン講座を市の講座として取り入れることについて、公民連携ファームの枠組みを活用することも一つの方法であると存じます。位置づけに当たりましては、市民のニーズや類似の事業の有無、携帯電話会社等の意向を確認した上で、必要性が認められれば実施が可能になるものと考えております。
次に、(2)LINEを活用した自治体行政についてお答えいたします。
近年、スマートフォン等の情報通信機器の普及により、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、いわゆるSNSの利用も増加しており、自治体行政の一部の業務でも活用されております。本市では、フェイスブックページ、ツイッター公式アカウント、ユーチューブ公式チャンネル、戸田市TVや、スマートフォンアプリ「tocoぷり」等を活用し、市政情報の発信や市民からの情報収集を行っております。また、教育委員会では、先日、竹内議員の一般質問での答弁にもございましたとおり、令和元年8月1日から、LINE、フェイスブック、ツイッターなどのSNSによる教育相談が開始されたところでございます。議員御指摘のLINEも含め、SNSの自治体行政への活用についても、今後も引き続き研究をしてまいります。
以上でございます。
◎山上睦只 教育部長 続きまして、教育委員会から、スマートフォン等の相談事業の実施状況についてお答えいたします。
市内の3つの公民館において、毎月1回、シニア層を含め、市民が自由に参加できるパソコン相談事業を実施しております。事業内容は、パソコン、スマートフォン、タブレット等に関する基本操作等の質問や相談に対応するものです。なお、当該事業は、昨年度までは下戸田公民館のみの開催でしたが、今年度から全ての公民館に拡大して実施しております。また、今年度は、公民館の新規講座として、「SNS入門・体験コース」や「タブレット入門コース」などを開設いたしました。
以上でございます。
◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。
まず、(1)シニア層へのスマートフォンなどの支援について、市では公民館などでパソコン相談事業を進めており、スマートフォンなども、そこで相談できるとのお話でした。現在、戸田市においてスマートフォンの使い方が学べるのは、ここしかございません。このパソコン相談ですが、広報やホームページにおいて、事業内容にはスマートフォンの記述はございますが、事業名のタイトルは「パソコン相談」となっております。少し細かい話ですが、このタイトルを「パソコン・スマートフォン相談」に変更していただくこと、また、今後、相談に来る方が、パソコンとスマホ、どちらの相談が多いかなど、経過を観察していただき、スマホ相談のニーズなどの把握をお願いいたします。
さて、そもそも、こういったスマホのレクチャーは、民間がやるべきだという意見もあるかと思います。しかし、先ほどもお話ししたとおり、国や自治体での今後ますますのデジタル化、近年の高齢者のネットトラブルの増加など、スマホが使えないデメリットは年々確実に大きくなっていくかと思います。そもそもキャッシュレスやネットショッピングの恩恵は、高齢者にこそ必要とされております。犯罪被害のリスクがある「たんす預金」を減らし、体に不安が生じても、ATMやお店に買いに出かける必要も、荷物を持ち帰る必要もございません。今後の国の動きや市民の方のニーズに合わせた御検討をよろしくお願いいたします。 続いて、(2)LINEを活用した自治体行政については、LINE自体、最も利用されているアプリであり、手軽さ、さまざまな媒体との連携のしやすさ、地方公共団体プランの無償化など、現在、考え得る中で最も自治体アプリに合うサービスかと存じます。さまざまな自治体や企業、店舗で利用されておりますので、ぜひ今後、研究を進めていただくようお願い申し上げます。