戸田市議会議員・無所属

【一般質問】公共施設の管理について

やざわ 戸田の会のやざわ青河です。通告に従い、一般質問を行います。
 件名1、公共施設の管理について。
 公共施設等の老朽化対策は、全国的に大きな課題です。戸田市においても、公共施設の老朽化、将来的な人口減少や少子高齢化により財政運営もさらに厳しくなることが予想され、公共施設全てを今までどおりに維持していくことは極めて困難な状況です。これらの課題へ対応するため、戸田市では、戸田市公共施設等総合管理計画及び戸田市公共施設再編プランを策定し、長期的な視点を持って公共施設の更新、統廃合、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担の軽減や平準化等を進めております。しかしながら、老朽化施設の大規模修繕等では想定以上のコストがかかることもあり、施設の統廃合には時間がかかってしまいます。こういった中、どうにかコストを削減しようと、公共施設の管理に民間のノウハウを活用する指定管理制度、複数の公共施設業務をまとめて委託する施設包括管理など、様々な手法で改善を図る自治体が増えております。
 そこで、まず、(1)戸田市の施設等の管理の現状と今後についてお伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。市では、21施設を指定管理で運用しているとのことでした。
 さて、直接市で管理している施設において、業務ごと、あるいは施設ごとにまとめて業務委託をしているとのことですが、具体的にはどのような業務委託でしょうか、お伺いいたします。
やざわ 市内8か所の市営住宅では、複数施設の管理を一括委託しているとのことでした。当たり前のことですが、複数の類似業務があった場合、一つ一つを個々に委託するよりも、まとめて一括委託したほうがコスト削減や効率化が図れます。公共施設の管理も同様です。公共施設の点検、清掃、機械警備などは、おおよそどの施設でも業務内容が同じであり、他自治体では、小中学校や幼稚園、保育園、コミュニティセンターや市民活動センターなど、部局をまたいだ複数の公共施設の管理を一括して業者に委託する施設包括管理を導入する自治体が近年増えております。
 その中でも、先進自治体である明石市の包括管理の取組は参考になります。参考資料を御覧ください。上部①の戸田市の指定管理と明石の指定包括管理では、包括管理の先進自治体である明石市と戸田市の施設管理の比較を掲載しております。左側の戸田市の現在の指定管理では、各担当課所管の施設業務を一つ一つ地元業者へ委託しております。そのため、部課をまたがる施設の情報共有は少なく、担当課に施設管理に専門知識を持つ職員がいない場合もあるため、ノウハウの蓄積や全庁的な情報が集めにくくなっております。また、施設の業務ごとに担当課が入札の手配や修繕対応を行うため、事務負担が大きいこと、施設を修繕する際、専門知識がない職員が対応することもあり、事後保全となってしまい、対応の遅さや老朽化予防が難しいことなどの欠点がございます。
 一方、右側の明石市の施設包括管理では、市の包括管理担当課に専門職員を置き、契約した包括管理業者と常時連携を行います。包括管理の事業者は複数施設のマネジメントを担いながら、施設管理や修繕などの業務委託をこれまでの地元企業へ再委託して管理します。また、地元企業からの複数施設の報告は、包括管理業者がまとめるため、横断的、専門的な施設管理のノウハウや修繕履歴などのデータが蓄積され、公共施設ファシリティーマネジメントの見直しや修繕管理の効率化に活用できますし、複数施設の委託を一元化したことにより、職員の施設管理や入札事務が大幅に軽減されます。そして修繕などの現場確認を専門業者が行うため、タイムリーな予防保全を行うことができ、施設の安全性向上や長寿命化が実現できます。さらに、地元企業にとっても、入札がなくなり、報告先が一元化することで事務作業が軽減されるなどのメリットがございます。
 また、明石市の包括管理の大きな特徴として、日常の小規模な修繕を包括管理委託業務に含んでおります。30万円以下の軽微な修繕については、応急処置を包括業者がその場で対応する内製化で対応します。30万円以上の修繕については、包括管理事業者から協力地元業者に直接見積り合わせで委託して対応します。
 次に、参考資料の②の明石市の包括管理の体制と費用のイメージを御覧ください。これは、修繕が必要となったときの流れを表しております。①各施設から市包括担当へ修繕依頼が報告されると、それを包括管理事業者と共有し、②包括管理事業者、必要であれば市担当課が施設、現場へ伺い、確認を行います。この際、その場で行える30万円以下の修繕や応急処置は内製化で対応します。明石市の修繕のうち、全体の3割が内製化であり、予防修繕による長期寿命化の観点からも内製化は大変優れた手法です。そして30万円以上の修繕は、③見積り合わせで地元業者に依頼し、④地元業者が修繕などの対応を行います。専門職員のいる市包括担当と包括管理事業者は技術者同士なので話も早く、施設側もすぐに専門家と相談できるため、細やかな要望に対応していただけます。
 次に、導入の費用イメージです。包括委託を導入する際、マネジメント費が追加される分、委託費が増え、一見コストが増加したように見えます。しかし、実際は、図のとおり、維持管理費や修繕費は従来どおりですが、マネジメント費が追加されても契約事務などの職員人件費が削減されることで、トータルコストの削減につながります。
 他市の事例や想定を幾つか紹介しますと、明石市では、マネジメント費が3,500万円増加しましたが、人員7名の減少により全体で4,800万円のコスト削減効果を実現しました。我孫子市の事例から効果試算を行った根本氏の論文では、人件費や1契約当たりの工数から職員の1分当たりの人件費、単価85円、1契約当たり1,597分、また、1契約当たり13万5,745円、コスト削減があると算出されました。
 東村山市でも、契約事務に係る時間や1分当たりの人件費から、1契約当たり約13万円で、全体で年間、約7,200万円の契約事務コスト削減効果を試算しています。荒尾市の想定では、人件費は約4,400万円削減できることが想定され、マネジメント経費などを含めても約1,000万円削減できると想定しております。このようにコスト削減効果の報告も複数上がっております。
 参考資料の中段下を御覧ください。これまでのまとめになりますが、こちらに記載してあるとおり、各施設の包括管理による市役所、施設、地元事業者それぞれにメリットがございます。市役所にとっては、全施設の利用や修繕実績情報などの各種データを効率的に集約し、蓄積することができ、これが以後のファシリティーマネジメントにおける統廃合や見直しを考える上での基礎データとして活用できます。また、施設管理に携わる職員の入札や修繕対応などの業務負担を軽減することで、庁内のマンパワーの確保ができ、さらには、スケールメリットや内製化による施設管理費や修繕費のコスト削減効果が見込まれます。
 次に、各施設にとっては、包括的に施設管理を行う事業者が業務に対応し、各施設を横断的に見ることで仕様の統一と適切な管理が行われ、管理の品質向上と均一化が見込めます。また、従来の職員ではなく、専門的な知識を持つ事業者が不具合の早期対応、内製化などの迅速な修繕を行うことで、予防的に施設の安全性が向上し、長寿命化が実現します。また、日頃から施設と業者が連携することで、細やかな要望に柔軟に対応できる体制が構築されます。
 最後に、地元事業者にとっては、入札が不要となり、各施設の不具合などの報告先も一元化され、事務作業などの手間が軽減し、手間ばかりかかって利益率の低い応急対応業務なども減少します。さらには、包括管理事業者などの民間提案などのノウハウを活用することで、地元企業がさらに参画しやすい場の拡大につなげている例もございます。
 以上のように、施設包括管理は、三方ともにメリットが期待される制度です。戸田市においても、このような包括管理委託の導入を研究してはいかがでしょうか。
 以上、お伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。ぜひ研究のほど、よろしくお願いいたします。
 この包括管理を進める上で最も大切なのは、事前準備です。包括管理には正解がなく、それぞれのまちの現状やニーズを把握して、それに合わせたカスタマイズを行う必要がございます。また、明石市のように、人員見直しと併せた包括管理は庁内の横断的な調整が必須です。
 また、包括管理を導入することで、再委託先となる地元企業の仕事が減るのではとの不安を抱く可能性もございます。しかし、実際は、包括管理導入後も事業は同程度、もしくは増加したとの自治体もあり、導入以前のサウンディング型市場調査や公募要件に地元企業の活用や受注しやすい仕組みづくりを盛り込むなどの工夫、庁内や地元への説明を徹底するなど、入念な根回しや合意形成を構築することが必要です。
 一般的な公共施設の見直しには、施設利用者や地域住民、関係団体等の理解を得る必要があり、短期間に成果を得ることは難しい状況です。それに比較して包括管理は、庁内合意だけである程度進めることができます。参考資料の下部③にも記載しましたが、全国でも様々な包括管理が実施されております。また、多くの自治体がこの実施に向けた調査を進めており、埼玉県でも鴻巣市が包括管理業務の実施に向けたサウンディング型市場調査を始めております。
 参考資料の、小さいですが、一番下部のURL、荒尾市公共施設包括管理委託事業者調査など、実施に向けた調査がまとまっており、大変参考になる調査報告も数多くございます。繰り返しになりますが、今後この施設の包括管理を含めた効果的な公共施設の管理を研究していただきますようお願い申し上げまして、私の一般質問を終了させていただきます。