戸田市議会議員・無所属

【一般質問】EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)証拠に基づく政策立案について

昨年5月、国によりEBPMを推進することなどが示された。(1)戸田市の統計等データ活用の現状について。(2)今後の統計等データの活用について。

日本の政策の企画や立案では、エビデンスよりも、局所的な事例や個人の体験談など、その場限りのエピソードが重視されてきました。政策立案者の直観や関係者の要求に応えた形の政策、過去の慣行や政治的流行などではなく、限られた資源を効果的、効率的に利用するため、市民の厚生が最大化される政策を選択することが求められております。

 政策目的を明確にした上で、その目的のために本当に効果が上がる行政手段は何かなど、政策の基本的な枠組みを情報やデータなどの証拠に基づいて政策を決めていく、こういった手法をEBPM──エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、証拠に基づく政策立案といい、昨年5月に内閣府により、統計改革推進会議最終取りまとめに基づきEBPMの推進が取りまとめられました。戸田市においてもエビデンス・ベーストは各種計画や政策立案、行政評価などの指標などで活用されておりますが、今後さらにEBPMの意義や効用を市役所内に浸透させ、統計等のデータを積極的に活用できる職員をふやすなど進めていただきたいと考えております。そこで、まず2点質問いたします。

 まず、(1)戸田市の統計等データの活用の現状についてお伺いいたします。

 次に、(2)今後の統計等データの活用について。

 以上、お伺いいたします。

◎山本義幸 総務部長  2のEBPMに基づく政策立案について、(1)統計データ活用の現状についてお答えいたします。

 限られた予算、資源のもと、各種の統計を正確に分析して効果的な政策を選択していくEBPMの推進は、政府の経済財政運営と改革の基本方針2017にも掲げられているとおり、今後ますます重要性が増していくものと考えております。

 中でも統計等のデータ活用につきましては、EBPMを支える基盤となるものであることから、本市においても総合振興計画を初めとしたさまざまな個別計画等の策定や、各事務事業の実施等に当たり、近隣自治体や類似団体との比較など、それぞれの分野に必要な情報を把握し、施策を具体化する際の分析に活用しているところでございます。

 また、行政評価においても、本市では既に定量的指標や客観的指標により進捗状況の点検、評価を行っており、さらに外部評価委員会においても評価の妥当性について審議をいただいております。

 また、庁内各課においてデータ分析を効果的に行えるよう、戸田市政策研究所において市が保有するデータを一元管理し、各所属で必要なデータを効果的に活用できるよう、データ貯蔵庫を構築しているほか、民間のデータについても活用し、地域の実情や特性に応じた分析を行えるよう、官民のビッグデータを集約したRESAS──地域経済分析システムの活用についても庁内で推進しているところでございます。

 次に、(2)今後の統計等データの活用についてお答えいたします。

 EBPMにつきましては、さまざまな分野において本市の実情に合った施策を実現していくため、引き続き推進していく必要があると考えております。

 そのためには、データを活用できる職員の育成も重要であると認識しており、また、今後についてはデータを分析するだけでなく、その結果を政策立案に結びつける能力の育成についても取り組んでいく必要があると考えております。

 本市においては、これまでもさまざまな統計等のデータを活用してきたところではありますが、議員からいただきました御意見や、国等のEBPMの推進に向けた取り組みについても参考としながら、今後もデータを使いこなせる職員の育成を図り、積極的に統計等のデータを活用しながら、本市の現状に合致した政策を立案し、展開していけるよう環境を整えてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) 御答弁ありがとうございました。

 政策研究所において、市が保有するデータを一元管理化するデータ貯蔵庫というお話がありましたが、その詳細についてお伺いいたします。

◎櫻井聡 政策秘書室長  行政データ貯蔵庫についてお答えいたします。

 政策研究所では、調査研究と政策支援の2つの機能があり、調査研究や政策立案の支援を実施することは役割の一つとなっております。

 そこで、政策づくりの簡素化、効率化を目指し、庁内のデータ等を一元化する行政データ貯蔵庫を昨年度構築し、運用しているところでございます。

 また、今年度においては、行政データ貯蔵庫のデータ更新や新規データ等の収集を進めるとともに、さらなる活用を目指して取り組んでいく予定でおります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございます。

 データ貯蔵庫につきましては、現在まだ庁舎内の統計データの共有といったもののようですが、ぜひさらなる活用を目指し、将来的には戸田市に関係する民間などのデータの蓄積や、フォーマットなどの整理と活用しやすい体制構築、公開可能なものの随時オープンデータ化などを進め、職員だけではなく、市民や民間が活用できる仕組みになることを期待しております。

 続きまして、人材育成についてお伺いいたします。

 ことしの4月、国においてEBPMを推進するための人材の確保・育成などに関する方針が示され、地方の統計人材育成を推進しております。戸田市における今後の統計の活用できる職員の育成についてお伺いいたします。

◎山本義幸 総務部長  統計を活用できる職員の育成についてお答えいたします。

 データを活用できる職員の育成については、平成25年度からデータ分析力向上研修を、平成28年度からRESASに関する研修を実施しております。

 まず、データ分析力向上研修でございますが、職員が行政運営を効率的、効果的に行うために、正確なデータ分析やアンケート調査の正しい活用方法を習得することを目的とした研修でございます。

 内容につきましては、2日間で、データ分析の必要性から始まり、偏差値の活用、クロス集計などのデータ分析の技法を学び、最後にデータ分析を実践するものとしております。この研修は平成25年度から実施しており、5年間で約70名の職員が受講したところでございます。

 次に、RESASに関する研修とは、RESASを用いて本市の分析や政策形成を行うことができる職員を育成することを目的とした研修でございます。

 RESASとは、平成27年度に「まち・ひと・しごと創生本部」が提供を開始した地域経済にかかわるさまざまなビッグデータ、企業間取引、人の流れ、人口動態等を収集し、かつ、わかりやすく見える化するシステムであり、各自治体が地域の実情等を把握することができます。

 研修では、RESASによる分析フローや操作方法、本市の現状分析やデータに基づく政策立案の手法を学ぶものとなっており、平成28年度から2年間で、約90名の職員が受講したところでございます。

 今後もEBPMの推進に当たり、引き続きデータを活用し、政策立案に生かせる職員の育成に取り組んでまいります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。

 先ほどの人材の確保、育成に関する方針には、市町村の統計部門の研修プログラムの充実のほか、国の統計職員の派遣、地方職員の統計部門への受け入れによるOJTや研修などの取り組みも盛り込まれております。ぜひ積極的に活用して、統計人材の育成と全庁的なEBPMの推進をお願いいたします。

 次に、現在の、EBPMを使用しております行政評価についてお伺いいたします。

 現在の行政評価は大変詳細な内容を含んでおりまして、一つの方向性として完成していると感じておりますが、600近い施策や分量の多さなどから業務量も多いものとなっているように感じます。

 そのため、毎年の評価や数年ごとの計画見直しも含め、細かい施策のチェックまで第三者の目が行き届いているのか、担当課のみのチェックになっていないかなど、また、施策目的や指標の検証を昨年踏襲のみで行っている箇所はないかなど、少し心配な点もございます。新規事業の立案時や既存の事業見直しにおいて、行政評価をもっと活用できたらというふうに考えておりますが、市の御見解をお伺いいたします。

◎山本義幸 総務部長  行政評価の活用についてお答えいたします。

 初めに、本市の行政評価の概要についてお答えいたします。

 本市の行政評価は、総合振興計画の基本構想を実現するための具体的な方向性や方策を示した施策及び、施策を実現するための手段としての事務事業について、進捗状況、費用対効果、無駄の削減、改善の余地などといった視点から、その内容を評価しております。

 また、先ほどの答弁でもお答えしましたとおり、評価結果は客観性及び透明性を確保するため、毎年、外部評価を実施するとともに、市ホームページにて公表しております。

 御質問いただきました新規事業の立案や既存事業の見直しでございますが、本市の評価制度では、新年度新たにスタートする事業の有効性や事業手法の妥当性等を事前に評価する事前評価と、前年度実施した事業の分析や成果、事業の優先度合い等を振り返り評価する事後評価を行っており、データに基づく事業検討を行える仕組みを導入しております。

 なお、平成29年度行政評価の結果、新規事業の事前評価は5件、既存事業の統合、休止、見直し、終了等は58件ございました。

 今後も行政評価制度を活用した効果的、効率的な行政運営に取り組んでまいります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございます。

 現在も行政評価、細かく進めていただけるということ、わかりました。

 現在、市民への行政評価についてですが、ぜひ市民への周知を行いながら、チェック体制の強化など、さらに活用していただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 また、戸田市は年齢構成や人口密度の高さ、不交付団体などから、一般的な類似団体や近隣自治体と直接比較できない部分が多いように感じております。特に不交付であり、地方交付税の縛りがないため、基準設定が難しく、ほかの市では行っていない戸田市独自の事業なども多くあるように感じております。こういったことから、統計などを活用して、他自治体との比較や情報共有を行うことが必要ではないかと考えております。

 ことしの3月に総務省の統計局から、市区町村別統計データの利便性を、順次、改善するとの発表があり、統計データの充実化やホームページ刷新、市区町村間での比較機能の強化などが挙げられました。

 個人的に、統計局が出されている「統計でみる市区町村のすがた」という9分野92項目の統計表をエクセルに1つにまとめ、戸田市と類似する市区町村を抽出してみたのですが、総人口を10万人から20万人、財政力指数を0.9以上、面積を10から30平方キロメートルに設定した場合、戸田市の類似団体として挙げられる市区町村には、朝霞市、新座市、習志野市、浦安市、立川市、武蔵野市、三鷹市、昭島市、小金井市、小平市、日野市、国分寺市、多摩市という自治体が挙げられました。駅の数や都心への距離、土地の勾配などは考慮されていない部分もございますが、これらの市は産業構造や世帯構成などが類似する点も多くございます。これらの類似団体を比較することで、政策や施策の参考にするなどの活用が行えます。ぜひ戸田市においても、このような簡易な統計表の利用や類似団体の選定などで、統計データの活用をさらに推進していただきたいと考えております。

 そこでお伺いいたします。他自治体との情報共有や比較の現状はどのようになっているのでしょうか。また、代表的な類似団体を選定して、他自治体との比較や政策の参考などに活用してはいかがでしょうか、以上お伺いいたします。

◎山本義幸 総務部長  初めに、他自治体との情報共有や比較の現状についてお答えいたします。

 新規事業の立案や既存事業の見直し等については、他自治体の状況について参考とすることが多く、各部局において情報共有を行っているところでございます。

 具体的には、行政分野別の近隣市で構成する連絡協議会等での意見交換や、先進市への行政視察、文書等による照会などでございます。

 続いて、類似団体比較についてお答えいたします。

 本市の状況について分析を行うためには、他自治体との比較検討は重要な視点であると考えており、議員からいただきました御意見のように、代表的な類似団体として人口規模や財政力、面積など、基礎的な条件によって選定し、身近な尺度として利用することは可能と考えております。

 一方で、各行政課題に対するサービスの適正水準等を分析、検討するためには、行政課題に即した、より類似性の高い自治体を選定する必要があり、目的ごとに抽出条件が異なってまいります。

 現在も各部局において類似性の高い自治体との比較を通して政策立案や検討を行っておりますが、その比較対照の自治体の選定については、御提案いただきました手法も参考に進めてまいります。

 以上でございます。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。

 今後も類似団体の比較、また、EBPMの推進、どうぞよろしくお願いいたします。

 今回の質問では、図書館の見直し、指定管理の制度の確認やEBPMの推進について取り上げました。

 以上で私の一般質問は終了させていただきます。ありがとうございました。