戸田市議会議員・無所属

【一般質問】いじめについて

やざわ 戸田の会のやざわです。件名に従い、一般質問を行います。
 件名1、いじめについて。
 文部科学省の調査によると、昨年、令和4年度における全国のいじめ認知件数は、過去最多の61万5,351件、その内訳は小学校で50万562件、中学校で9万7,937件、高等学校で1万4,157件、特別支援学校で2,695件、さらに、いじめによる自殺や不登校などの重大事態は、前年度から191件増えて705件で過去2番目に多くなり、自殺した児童生徒数は368人と4年連続300人を上回っています。
 全国で繰り返されるいじめ問題、学校現場ではSOSの見逃しや初動対応の遅れなどにより、問題が長期化、複雑化するケースが全国的に後を絶ちません。このような中、戸田市ではいじめ根絶「ピース」プロジェクトを実施し、幅広い対策を行っておられます。
 そこで、まず、戸田市のいじめ対策の現状についてお伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。戸田市のいじめは、どの学校にもどの子供にも起きているという基本認識はほかの自治体よりも大変先んじており、これらの効果や姿勢は、小中学校のいじめの認知件数に顕著に表れていると感じております。戸田市のいじめ認知件数は、10年以上前までは小中学校ともに十数件程度でしたが、最近では、小学校1,000件、中学校およそ200件と大幅に増加しております。これは各学校で初期段階から積極的に認知して組織的に対応している結果であり、全ての認知案件に対応、見守りを行っていると伺っております。以前は表に上がらなかった小さなトラブルも見逃さないという共通認識を学校側が徹底し、教師や児童生徒への地道な啓蒙活動の成果と感じております。
 それでは、再質問を行います。
 近年、教育部局とは別に、市長部局にいじめ対策の部署を設置する市町村が増えております。参考資料1ページを御覧ください。1ページの①の大阪府の寝屋川市では、2019年10月に、弁護士資格や福祉部局でケースワーカーを務めた経験がある職員で構成された監察課を市長部局に設置しました。いじめは重大な人権問題として、学校外の組織が早期発見と早期解決に向けて積極的に関与する寝屋川モデルの取組は全国的に注目を集めています。
 寝屋川市では、全国で繰り返されるいじめ問題について、その要因の一つに、学校現場が教育的指導としての正しさを追求すればするほど、いじめ問題の深刻化に陥る可能性、教育的アプローチの限界という仮説の下、学校などは教育的指導による教育的アプローチとしていじめの予防、見守りに注力し、市長部局の監察課は、いじめを人権問題として捉え、加害者と被害者という概念を用いた行政的アプローチを行う体制を構築しております。これまでの教育的アプローチでは、情報が入った後、調査、相談、経過観察など数か月以上の時間を要することも多々あり、自然に問題が解消した場合でもいじめられた側に禍根が残る場合もございました。
 一方で、監察課では、毎月、学校にいじめ通報促進チラシを配布、被害者や家族、友人などから情報、相談があれば、翌日までに担当課の職員が学校に出かけるなどして本人に連絡を取り、事実確認を調査する、誰にどこまで何を伝えてよいかを本人に確認した上で、いじめた側や教員らにも聞き取りをする、被害者の言う事実が認められると、保護者らに話し、時には課の職員が謝罪の場に立ち会うこともあるそうです。この迅速な対応、いじめ解決に向けた本気度は、ニュースやSNSなどでも多くの称賛を得ています。
 寝屋川市の監察課が実際に対応した件数は、令和2年度169件、令和3年度183件、令和4年度337件、認知した全件で1か月以内にいじめ行為を停止し、いじめの終結を確認、短期間で判断、解決が可能で児童と教職員の問題にも対応ができる実効力の高い組織になっております。さらに、もし当事者間に関係修復が見えない場合には、市長が学校長に子供の別室指導や出席停止、クラス替え、転校などを勧告、助言できる権限を与えているほか、刑事や民事などの法的措置を取るケースを想定し、費用を30万円まで補助する制度も設けています。寝屋川市の広瀬市長は、寝屋川市は、いじめを重大な人権問題として捉え、市長の権限と責任で子供たちが安心して学べる環境をつくっている、いじめ問題の99%は現状の学校や教育委員会での体制で解決はできますが、複雑化、深刻化させないために、教育的アプローチと行政的アプローチで役割を明確にすることが重要だと強調しております。
 このように、市長部局いじめ対策部署の行政アプローチと教育部局の予防や見守りに注力する教育的アプローチは、2つを並走することで次のようなメリットがございます。まず、事態の早期収拾が可能です。さらに、第三者的視点でいじめの対応の不備をチェックすることができます。次に、役割分担により教職員の負担軽減、専門的な対応が可能にもなります。また、これまではできなかった児童と教職員の問題にも対応することができたり、学校側のいじめ対応に不満があっても市長部局へと相談対応が可能、いじめを絶対見逃さない本気度を示し、意識醸成や抑止力となるといった副次的な効果も考えられます。
 最近では、2021年に痛ましい事件のあった旭川市をはじめ狛江市など、多くの自治体で市長部局にいじめ専門部署を設置し始めております。今後のいじめ対策では、学校外との連携が重要となっていくと考えますが、いじめ対策について、現在、市長部局との連携についてどのように行っているか、お伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。4月に発足したこども家庭庁でも、現在、学校外からのアプローチによるいじめの解消の仕組みづくりに取り組んでおり、先進事例の研究として先ほどの寝屋川モデルに注目しております。国のほうでも、今後、学校外からのいじめへのアプローチの動きや議論が進むかと思いますので、今回の寝屋川モデルなども参考に、引き続き連携を密にしていただくようにお願いいたします。
 戸田市のいじめ対策については、やれることはしっかりとやっているような印象を受けています。しかしながら、最後に、今回のいじめ問題に取り組む前は、私も、いじめはあって当たり前のもの、なくすことはできない、からかいやいじりなどはいじめとなかなか区別できることはできないというふうに感じておりました。しかしながら、欧米で成功しているいじめの予防プログラムの中には傍観者教育というものがございます。いじめの対策は、何よりもいじめを行わない意識醸成が必要だというふうに今回の質問で感じているとこでございます。そのためにも、今の学校教育現場での対応以外にも、市長部局で戸田市としていじめは絶対駄目だというふうな本気度を見せることで、子供、学校にそういったいじめの対策が進むと思います。
 以上で、件名1の子供のいじめ問題について閉じさせていただきます。