戸田市議会議員・無所属

【一般質問】プラスチックごみについて

やざわ おはようございます。戸田の会のやざわ青河です。通告に従い一般質問を行います。
 件名1、プラスチックごみについて。
 海洋プラスチックごみ問題はますます深刻化し、中国や諸外国の廃プラ輸入規制や、今年1月のバーゼル法改正により、廃プラ輸出の厳格化がなされました。リサイクルには、主にマテリアル、ケミカル、サーマルという3つの手法があり、マテリアルリサイクルは、プラスチックの原料として再資源化し、プラスチック製品などに再利用するもの。ケミカルリサイクルは、熱や圧力を加え、ガスや油として再資源化し、燃料などに再利用するもの。サーマルリサイクルは、燃焼させることで高い熱エネルギーを発生させ、発電などに再利用するものです。ヨーロッパでは、サーキュラーエコノミーという名で、マテリアルリサイクルを基本とした廃棄物の循環利用が唱えられています。これまで廃プラスチックを輸出やサーマルリサイクルに頼っていた日本にとって、大変厳しい世界情勢であり、廃プラをめぐる様々な問題の対応や国内にあふれる廃プラへの対処など、難しいかじ取りが求められています。
 このような中、日本では、今年3月、プラスチック資源循環促進法案が閣議決定され、来年4月に施行されます。包括的なライフサイクル全般でプラスチック資源の循環を目指すこの法律では、1、メーカーへ環境に配慮した製品の設計や製造を求めること、2、スプーンや容器などの使い捨てプラスチックの削減や合理化に関すること、3、市区町村の分別収集や日本容器包装リサイクル協会、容リ協を通じての再商品化の促進、4、製造業、販売事業者などによる自主回収の促進、5、排出事業者の排出抑制と再資源化の促進などが定められております。
 戸田市においても、この法律施行により、プラごみへの対策を推進しなければならないと存じますが、戸田市のプラスチックごみの収集、処理の現状と今後についてお伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。
 戸田市では、燃やさないごみの日にプラマークのついたプラごみを回収し、プラマークのないプラごみは、燃えるごみとして回収しているとのことでした。また、法改正でプラマークのついていないプラごみの分別収集が自治体の努力義務となったことも大変大きな変化です。
 順次再質問をいたします。
 初めに、プラマーク以外のプラごみの分別についてです。
 実は、このプラマーク以外のプラごみや汚れたプラごみは、私自身、燃えないごみの日に捨てるものと勘違いしておりました。参考資料1ページの左上の図を御覧ください。これは、戸田市のごみ分別ポスターを一部抜粋したものです。左側のプラスチック製容器包装は、現在の表記です。そして、右側のその他のプラスチック類は、数年前までの表記です。以前は燃やさないごみの日の下にその他のプラスチック類と表記されていました。よく見ると、小さくプラマークのあるものや、プラマークのついてないもの、汚れや食べかすなどのついたものは燃やすごみへと記載されておりますが、分かりづらく、私のように、プラマーク以外のプラごみは、燃やさないごみだと勘違いしている方も多いのではと感じています。
 参考資料右側の中央区のごみ分別表を御覧ください。中央区では、資源ごみはプラマークという表記で、燃やすごみにもプラスチック類と記載しております。また、左中央は、新潟市の分別説明表です。新潟市では、プラマーク容器包装という表記で分別を行っており、プラマークに該当しないプラスチックの例なども丁寧に説明しております。
 参考資料の下の②の表は、戸田市のプラスチックごみの収集、処理の実績をまとめたものです。市民が分別して、市が収集したプラごみは1,219トン、それを衛生センターのリサイクルプラザに運び、改めて5名の方が専属で分別を行います。そこで、資源に回せるものは56%、そして、44%ものプラごみが焼却されております。ここからもプラごみの分別の仕方が市民へ伝わっていないのではと感じております。プラマークのないプラごみや汚れたプラごみは、燃やすごみになることなど、分別ルールを分かりやすく表示できないでしょうか、お伺いいたします。
やざわ 分かりやすい表記や周知をよろしくお願いいたします。
 続きまして、プラスチックごみの処理やリサイクルの実態についてです。
 皆様に共有していただけるよう、まず、私のリサイクルに関する考え方を簡単にお伝えします。主に私は、プラごみの分別は市民や自治体の分別の手間となり、高い経費、低いリサイクル率などから、効率が悪いため、プラごみ分別を廃止し、燃えるごみとして熱回収可能な焼却炉によるサーマルリサイクルを行うことが現状で最適な選択だと考えております。また、マテリアルリサイクルについても、多大な経費と資源を消費することや、海外へ輸出することにより、環境汚染の原因となっていることから、批判的であり、プラごみを取り巻く問題は、リサイクルでは解決し得ないと考えております。
 それでは、改めて、参考資料1ページ下の②、戸田市のプラスチックごみ収集、処理実績の表を御覧ください。令和元年度に市民が分別し、市が収集したプラごみは1,219トン、収集運搬費用は、ペットボトルや雑紙などと合わせて7,362万円です。その後、衛生センターのリサイクルプラザで改めて分別され、資源分が681トン、焼却分が538トンに分けられます。このプラごみの分別には5名の方が専属で作業されています。また、缶、瓶、ペットボトル、プラスチックを扱うリサイクルプラザ全体の委託費は1.3億円となっております。資源分681トンは、日本容器包装リサイクル協会(容リ協)へと受け渡されます。容リ協の元年度のプラごみの全国引取りは65万トン、再商品化は44万トン、再商品化率は67.1%です。これを戸田市の681トンに当てはめると、戸田市の商品化は457トン、37.5%となります。参考資料右下、③の図は、容リ協の再商品化委託料費です。上から、ガラス瓶、ペットボトル、紙、プラスチックとなりますが、令和元年度のプラごみの委託費は、全体で349億円、実に91.4%を占めます。単価比較では、ペットボトルが1トン当たり2,000円なのに対し、プラスチックは1トン当たり4.6万円と20倍以上、戸田市のプラごみが681トンですから、単純計算で再商品化に3,000万円かかることになります。実際は、企業から再商品化のための費用を徴収するため、自治体の負担はなく、リサイクルの体制は整備されておりますが、市民や自治体の分別の手間、多額の経費を考えると、サーマルリサイクルを選択する他自治体が増えているのもうなずけるところでございます。
 続いて、日本全体の廃プラスチックについての実態です。参考資料2ページの④、廃プラのマテリアルフローの図を御覧ください。2017年を見ますと、日本で消費された一般廃棄物や産業廃棄物の廃プラは、全体で903万トンです。このうち、赤枠部分、775万トン、85.8%がリサイクルされ、そのうち、海外マテリアルが129万トン、14.3%、国内マテリアルが82万トン、9.1%、ケミカルリサイクルが40万トン、4.4%、サーマルリサイクルが524万トン、58%となっております。また、単純焼却は76万トン、8.4%で、埋立ては52万トン、5.8%であり、日本の廃プラ処理の多くがサーマルリサイクルに頼り、単純焼却と合わせて7割近くを燃やしております。海外マテリアルリサイクルでは、再生化を前提として輸出しておりますが、その実態は不明であり、不正な処理により、環境汚染へとつながるケースも多く存在しております。リサイクルの中で最も真っ当とも言われている国内マテリアルについては、実際に再生化し、再利用されたのは68万トン、全体の7.5%しかありません。また、2017年末の中国の受入れ規制により、2019年では海外マテリアルが50万トンも減少し、国内マテリアルが20万トン増加しており、国内で廃プラの滞留が懸念されております。
 続きまして、参考資料3ページの⑤、⑥を御覧ください。こちらは、日本の廃プラを輸出している国の推移です。2017年までは廃プラの輸出のほとんどを中国が受け入れておりましたが、中国の規制により、2018年からマレーシアやタイ、台湾など東南アジアへの輸出が激増しました。受入れ国では、リサイクル体制が整っていない状況で大量の廃プラが輸出されたため、環境汚染が発生しました。また、⑤のタイや、右グラフ、⑥のフィリピン、ミャンマー、シンガポールなどが廃プラの輸入規制を行ったため、2020年には大幅に減少しております。
 また、受入れが増えたインドネシアでは、廃プラの70%は不適切に処理され、48%が野焼き、14%が埋立てや破棄、9%は河川や海へ流れ出るなど、少なからず日本の廃プラの輸出が環境汚染につながっております。左下の⑦のグラフは、日本の廃プラ総排出量と輸出量の推移です。廃プラの総排出量は横ばいですが、輸出量は3年間で61万トン減少しており、廃プラが国内に滞留していることがよく分かります。この廃プラの国内滞留を懸念し、国は、2019年に産業廃棄物の廃プラを自治体で焼却処分する検討を行うよう、通達を行いました。その一方で、来年施行されるプラスチックに関わる資源循環の促進などに関する法律では、自治体へプラスチックのさらなる分別を行う方針を打ち出しております。
 そこで、お伺いいたします。法律改正に伴い、プラスチックごみの収集、処理の今後の予定についてお伺いいたします。
やざわ プラマークのないプラごみの収集を始めるなどで、これまで以上にプラごみが激増する懸念があります。一方で、海外への輸出は縮小を続けます。そのような中、受入先のないマテリアルリサイクルを強要してはどこかに無理が生じると思います。環境汚染や諸外国への押しつけなどにつながりかねません。
 ライフサイクルアセスメント、LCAという環境に関する指標があります。商品やサービスの原料調達から、廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通しての環境負荷を定量的に算定する手法のことですが、このLCAの視点で、サーマルリサイクルとマテリアルリサイクルを比較した調査研究は幾つもございます。例えば一つの研究では、「一定程度の効果を持ったサーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルなどと環境負荷削減効果において劣るものではない」。ほかの研究結果では、「家庭から出る廃プラスチックのマテリアルリサイクルが合理的に成立する対象は、ペットボトルや白色の発泡トレーなど、ごく一部の製品に限られる。マテリアルに固執せず、サーマルなど、無理のない手法を選択し、全体としての最適合理性を追求すべきである」。こういった研究結果もあります。私自身もマテリアルリサイクルは無理のない範囲で行い、サーマルリサイクルやケミカルリサイクルなど、多くの選択肢を用意し、最適な処理を進めるべきだと考えております。
 さて、改めて再質問いたします。
 鳥取市のホームページには、ごみの減量化を説明するページに次のことが書かれております。
 全てのごみをリサイクルすれば、環境に優しい循環型社会が形成されると思っている方もいらっしゃいます。しかし、リサイクルにはそのためのエネルギーや多額の経費が必要となり、万能とは言えないものです。また、分別を細かくすればするほど、収集、運搬、処理などにたくさんの税金を使用することになってしまいます。リサイクルの悪循環として、ふだん意識されていない方もいるかもしれませんが、ごみの分別、収集、リサイクルには石油などの天然資源(エネルギー)、例えば収集車のガソリン、リサイクル施設の電気などを大量に必要とするのです。限りある資源を再資源化する一方で、別の資源を消費しているということになってしまうのです。このことから、ごみ問題は、分別、回収、リサイクルだけでは解決しないということを意識することが必要です。循環利用のためのリサイクルはとても重要なことですが、そればかりに頼ってはいけません。ごみ問題の解決には、市民一人一人が大量消費、大量破棄という今のライフスタイルを転換することが必要であり、4R運動を強力に進めていくことが重要です。
 以上のように、鳥取市では、市民への周知を行っております。
 プラスチックごみ対策を進める上で最も重要なのは、ごみの減量化であり、市民の方へ正しい知識や対策を発信していかなければなりません。戸田市のプラスチックごみの減量化対策についてお伺いいたします。
やざわ ありがとうございます。
 結局プラごみ問題への一番の対策は、プラスチックを減らすことです。ごみの減量化の推進、よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、環境問題と向き合うに当たり、戸田市自身も何を優先目的とするか、明確にしなければならないと考えております。環境汚染ゼロを目指すのか、環境汚染のおそれを伴う資源の循環利用を目指すのか、焼却処理を選べば、熱エネルギー回収とともに、環境汚染ゼロを目指すことができます。マテリアルリサイクルを選べば、多額の経費や環境汚染のおそれはありますが、ヨーロッパのような資源の循環利用を目指せます。
 最後に要望を行いたいと思います。北海道の室蘭市では、プラごみ分別収集の見直しを検討会で審議し、廃止を決定し、来年度から燃やせるごみとして収集に切り替えました。これにより、分別や圧縮、収集、運搬などの経費が削減され、差引き2,660万円のコスト削減につながりました。国の方針とは真逆ではございますが、市でしっかりと目的を明確にして検討されているところは見習うべきところだと感じております。戸田市の衛生センターも、現在、長寿命化を行っており、あと十数年たてば建て替えの時期になるかと存じます。その際には、サーマルリサイクル可能な焼却施設を含め、あらゆる可能性を机上に上げて検討していただくようお願いいたします。
 市民に対して、環境に対して、最も誠実な対応は何か。見せかけだけではない、真の環境対策を戸田市が進めていただくよう、期待を込めつつ、私の一般質問を終わりにしたいと思います。