戸田市議会議員・無所属

【一般質問】道路・樹木・公園等について

やざわ 戸田の会のやざわです。通告に従い、一般質問を行います。
 件名1、道路・樹木・公園等について。
 行政が管理する道路などのインフラは、建設から40年近くが経過しており、今後、急速な老朽化が進み、長寿命化対策や修繕を必要とする施設がますます増えてまいります。一方で、建設業界では職人の高齢化が進む一方で、少子化の影響や3K、いわゆるきつい、汚い、危険などのイメージから若者の入職者が増えず、慢性的な人手不足が課題となっています。実際、国土交通省の調査によると、建設業の29歳以下の割合は約12%、全産業の平均値である約17%に比べて明らかに低く、若者離れは深刻な状況です。さらに、働き手人口の減少に伴い、自治体職員も減り続けておりますが、インフラの維持管理に関する要望は経年劣化も相まって、道路の補修や樹木の剪定など、毎日いとまなく寄せられております。そのため、職員はその対応に日々追われてしまい、長期的な目線に立ったインフラの健全な維持管理を進める上で必要な新しい手法や技術の研究、政策立案などの時間を確保するのが大変難しい状況だと感じております。地元企業の建設業界の衰退、職員の日常業務による忙殺など、このような状況では将来インフラを維持することができなくなり、施設の機能不全による各種経済活動への影響が生じることや、突発的な災害が起こった際、迅速な対応ができなくなるなど、大変危険な状況を招くおそれがございます。こうした現状を踏まえ、官民それぞれが抱える問題を解決するため、戸田市も社会インフラの維持管理の在り方を検討する時期に来たと感じております。
 さて、近年、多くの自治体で公共施設などの包括的民間管理の取組が広がりを見せており、私も以前、一般質問で明石市の事例を取り上げさせていただきました。同様に道路や樹木、公園などのインフラでも包括的な管理手法が注目を浴びており、戸田市においても、今年度より、公園の包括指定管理者制度が始まりました。
 そこで、初めに、戸田市の現状についてお伺いいたします。
 まず、(1)道路や樹木などの管理について。道路の巡回や応急処置、市民からの通報対応など、現在、戸田市ではどのように行っているか、お伺いいたします。
 次に、(2)公園の管理について。特に新しく始まった包括的な指定管理者制度の内容や、日常の巡回、修繕、導入に伴う成果や業務負担の軽減などについてお伺いいたします。
やざわ ありがとうございました。それでは、順次、再質問いたします。
 まず、道路等については、巡回、街路樹、清掃などは地区を分けて個別に業務委託を行っており、巡回や市民からの通報で発見された道路の不具合は、損傷の程度に応じて修繕を実施しているとのことでした。限られたマンパワーで広大な道路の状況をいかに把握するかは多くの自治体で課題となっており、近年ではICTやAIを活用した取組が進んでおります。
 それでは、参考資料を御覧ください。パソコンやタブレットで御覧いただいている方は、青文字下線の部分を押すと参照したリンクへ飛びますので、詳しく知りたい方はそちらを御覧ください。
 1ページの①、AIやICTなどを活用した道路や樹木管理の先進事例について。ここで紹介しております東京都府中市と新潟県三条市は、どちらも早い段階で道路等の包括的民間委託を導入しており、さらに、道路の状態を把握するため、ICTやAIなどのツールも導入している先進自治体でございます。
 まず、府中市のAIによる道路管理の実証実験では、巡回車両にカメラを搭載して路面を撮影し、その映像を道路巡回システムに取り入れることでAIが高い精度で道路の不具合を検知します。その不具合の発生箇所は、自動的に地図上にプロットされ、レポートとして映像とともにシステムから即日提供されます。主要市道における路面上の不具合を僅か1か月で把握でき、道路の予防保全へ早期に着手することが可能となり、経費の削減と職員の負担軽減が期待されております。
 次に、三条市では、府中市と同様の車載カメラとAI判定による路面調査とともに、道路修繕などの情報のデータ蓄積のため、道路パトロイド包括管理システムを導入しております。タブレットによる現場での情報入力のほか、市と複数の事業者がリアルタイムで情報共有をすることが可能です。さらに、巡回や通報、路面の状態や修繕などのデータの蓄積、集計、分析を通じて、路面損傷の全体的な把握や修繕の対応判断、適正な維持管理の支援、異常事態の事前予測などに生かしております。
 このように、車載カメラとAIを活用した路面状況の解析など、ICTの活用について市のお考えをお伺いいたします。
やざわ 続きまして、市民からの道路損傷などの通報についてお伺いいたします。
 路面状況等は地域住民が誰よりも把握しており、通報しやすい状況を整えることが適正な道路管理に直結します。特に今回の竹内議員の質問や、私も3年前に質問しておりますが、LINEを活用した通報は、写真や位置情報も容易に送信可能であり、何よりも手軽で、大変安価なツールです。以前の一般質問でも、今後、tocoぷりの機能をLINEなどへ移行するとのお話もございましたが、市民からの通報に関するLINEの活用について、市のお考えをお伺いいたします。
やざわ ありがとうございます。
 続きまして、道路の包括的管理による職員の事務負担の軽減や地元企業の体制維持についてお伺いしたいと思います。
 まず改めて、包括的民間管理の仕組みについて説明いたします。参考資料の1ページの②包括的民間管理の表を御覧ください。左側が従来の業務委託による管理、右側が包括的民間委託です。従来の管理では、道路の清掃や巡回、補修、樹木管理など、業務ごとに市役所の各担当課が地元企業へ委託を行っており、市民からの通報や巡回による不具合の対応、現地確認などは職員が直接行っております。一方で、包括的民間委託では、道路の清掃、巡回、補修、樹木管理だけではなく、通報対応や現地確認など、複数の業務を一括で共同企業体、JVなどの事業者のグループ1か所へ委託を行い、そのグループから各分野の企業へ業務が受け渡されます。この際、およそ150万円以下の補修、修繕は通常の維持管理の範囲内として事業者内で行い、それを超えるものは市役所が対応を判断します。左下の図のように、従来の管理では、①市民からの要望があった際は市役所が現地確認を行い、②見積書を作成し、民間業者へ作業依頼を行います。③民間業者は工事を行い、市役所へ完了報告を行い、④市役所から改めて市民へ工事完了の御連絡を行うという流れでした。しかし、包括的民間委託では、市民の要望を直接民間業者が受け取ることができ、工事完了も民間事業者から直接市民へ連絡することができます。市役所を間に挟まないことにより、迅速な対応が可能となるほか、複数業務を一括で委託することにより、市職員が行っていた市民からの通報対応や現地確認、委託事務が不要となり、職員しかできない業務へ注力することが可能となります。右の導入の費用イメージでは、委託費は現地確認やマネジメント費が追加され、一見増加したかのように見えますが、契約事務等の簡素化により職員の時間が確保でき、コスト削減が期待されます。さらには、事業者にとっても巡回や維持補修を一体で実施でき、創意工夫次第で収益性の向上が期待できるほか、これまでの単発の発注と異なり、業務範囲を拡大した複数年度の契約で安定した収益確保や一定の見通しが立てやすいため、設備投資など、地元企業の育成にもつながります。このように、包括委託は市役所、民間企業、市民の3者とも三方よしの体制を構築できる概算が高い施策です。
 さて、参考資料の下の表を御覧ください。道路の包括委託の先進自治体には、三条市と府中市がございます。三条市では、地元企業の育成や専門職の職員の高齢化による退職の対応を主な課題や目標として、2017年から試行的に業務を開始し、舗装修繕などの業務の大幅な費用削減がなされております。委託業務は道路、公園、水路などの維持管理、市民からの苦情や要望受付などで、維持管理には130万円未満の工事も含まれます。地元企業が地域を守れる維持管理体制を構築するため、事業者主体は地元の建設業者により構成される共同企業体、JVとなっており、2019年の第2期では委託期間やエリア対象業務などが拡大しております。
 続いて、府中市では、民間活力の活用によるサービス向上と経費縮減を目標として2011年から試行的に開始し、7.4%の費用削減効果がなされております。委託業務は主に道路の維持管理、市民からの苦情や要望受付など、維持管理には50万円未満の補修修繕が含まれます。事業主体は共同企業体、JVで、グループに1社以上の地元企業が参加していることが条件です。第2期からはエリアや業務の拡大、500万円未満までの工事の単価契約が追加されました。さらに府中市では、道路の保護包括的民間委託の効率化を図るため、道路データを民間が管理するシステムを複数自治体で共同利用することを検討しております。これが実現すれば、データ管理システム運用の費用は単独年間約500万円だったものが、共同利用で1自治体当たり約200万、約60%の削減効果が期待されます。
 このように、道路管理における包括管理の導入について、市のお考えをお伺いいたします。
やざわ 土木学会で発表されました、道路の維持管理業務に着目した包括的民間委託導入向けた土木行政における地方自治体職員の意思決定行動の分析という論文では、自治体の効率的な道路の維持管理を行う上で、包括的民間委託の導入が有効であるとされ、費用削減効果が得られる可能性が十分あるにもかかわらず、行政職員の意思決定が消極的になることについてを分析しており、対策として、長寿命化計画策定時などに包括的民間委託を導入するための行動計画書のフォーマットを準備したり、導入しない理由を記入させるなどが上げられております。何よりも、今回の質問の初めの答弁で、今年度から始まった公園の包括指定管理で様々なメリットがあったことを上げられておりました。管理業務の一元化による日常のパトロールや緊急的な修繕などが迅速化されたこと、施設の安全性の確保と憩いの場としての利便性の向上が図られたこと、指定管理者の柔軟かつ自由な発想の下、新しい事業が展開されたこと、所管課がこれまで直営で維持管理してきた部分が業務としてなくなり、その労力を振り分け、公園施設の長寿命化の実施、グリーンインフラの導入や、そのほか、公園の管理運営の検討、リニューアルに向けた新しい事業に取り組むことができたことなど、本当に効果が大きい施策だと考えられます。長期的な道路の維持管理のためにも、調査研究のほど、よろしくお願いいたします。
 続きまして、指定管理者による公園管理について再質問いたします。
 先ほどもお話ししたとおり、三条市の包括的民間委託では、地元企業の担い手の高齢化と人材不足についてを課題として捉えており、受注主体を地域の建設業による共同企業体とするなど、地元企業の優先策を講じております。
 そこでお伺いいたします。戸田市の指定管理者による公園管理に当たり、市と指定管理者が締結する協定書には、維持管理業者を選定する際に市内業者を優先的にするなどの情報が盛り込まれているのでしょうか。お伺いいたします。
やざわ 市内業者を優先するという条項は設けていらっしゃらないようでしたが、業務の多くは自然と地元の企業に決定しているとのことでした。しかしながら、将来、指定管理者が切り替わる時期には地域の担い手確保の観点からも、地元企業の優遇策なども御検討いただきますよう要望いたします。
 また、三条市では、地域のインフラは地域で守り活用していくことが望ましい姿であるという考えから、地域の元気な高齢者など、潜在的な地域の担い手、ボランティアなどを掘り起こす取組も行っております。詳細は参考資料2ページの③公園についての包括管理、三条市の地元企業の育成に力を入れた包括民間委託のリンク先にございますが、三条市の包括管理の中で業務ごとに活動日の柔軟性や活動の安全性などを評価した結果、公園、緑地の管理業務が地域の高齢者やボランティアなどに担ってもらう仕組みが望ましいと提案しております。このような市民参加についても今後の管理の御参考にしていただきますと幸いです。
 それでは、続きまして、公園について再質問を続けます。
 子育てをしているお母さんから、市内に日影が少ない公園が幾つかあり、夏場、利用できないとの御意見をいただきました。確かに私が拝見したところ、幾つかの公園は日影が少ない印象を受け、夏場は利用したくないと感じました。土木学会の論文でも、暑さ指数WBGTが30度を超えると公園利用者の9割以上がひなたを避け、日影を選択して移動するとの研究結果もあります。日影の有無で公園が利用されないというのは大変残念なことであり、暑い夏の日でも公園に長く滞在していただくため、日影を増やしたいと考えております。
 参考資料の2ページ、緑陰の形成を御覧ください。こちらの左側は、神戸市などで採用されているフラクタル日よけです。これは、人工的に木漏れ日をつくり出す構造で、霧状のミスとの散布と合わせることで体感温度を大きく下げる効果があります。また、中央区グリーンインフラのガイドラインでは、移動できる緑陰ベンチなど、日影の創出をはじめ、人が集いにぎわいを生む、選ばれる公園の工夫が掲載されております。
 また、市内の日影が少ないと感じた公園ですが、樹木に低木が多く、緑陰が少ないことも原因と感じております。枝の落下や倒木などによる事故もございますが、最近では新しい植樹に際して、高木ではなく低木を選定することも増えているのではと感じております。
 参考資料の緑陰樹の例や選定を御覧ください。千葉市や東京都、滋賀県栗東市などでは、街路樹の選定の基準や樹木の種類のリストをまとめております。特に中木の常緑樹で、樹形の葉の形が円形や卵型の樹種が、緑陰ができ、管理も容易だと思われます。写真はトウネズミモチ、ヤマモモですが、ヤマモモについては雌の木は赤い果実が落下して清掃が大変なため、雄の木がお勧めです。このような樹種の選定ポイントがまとめておりますので、こういったものを参考にして、公園の日影を増やしていただきたいと思います。
 さて、そこで、市民が集う公園、にぎわいを生むため、市がどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。
やざわ 利用される公園に向けて、戸田市でもグリーンインフラなど、多くの取組を行っているとのことでした。特に垂れ下げ型の遮光シートは以前拝見いたしましたが、安価で耐久性や遮熱効果もあり、ぜひ市内の公園のあずまやなどにも取り付けていただきたく思います。選ばれる公園のためにも、今後ともよろしくお願いいたします。
 また、今回の質問で老朽化が進む道路などのインフラ、若者離れが、担い手不足が深刻な建設業界、日々の日常に忙殺される職員の状況を改善するために、道路などの包括的な民間管理を提案させていただきましたが、導入には大きな手間や様々なハードルがあるかと思います。市職員が長期的な検討や政策立案を行う時間を確保し、将来を見据えたインフラ整備を進めるためにも、民間の委託の包括委託について、前向きな御検討をよろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を終了させていただきます。