【一般質問】多剤処方や残薬対策について

【一般質問】多剤処方や残薬対策について

他自治体では、多剤服用による害や残薬解消への対策が進められている。 (1)戸田市の今後の対策について。

多剤処方や残薬対策について。この質問は、市民の方から高齢者の方が、ふだんから常用している薬の種類がとても多く、さらに飲み残してしまった残薬がたくさん余ってしまって困っている方が多くいるといった御意見を伺い、取り上げさせていただきました。この多剤や残薬の問題については、おととしの3月議会において、石川議員も取り上げております。

 さて、高齢者においては、複数の疾病を抱えるケースが多くなり、その分、薬剤の数や種類も多くなりがちです。厚生労働省の6月の報告書によると、在宅療養患者の平均処方薬剤の種類は6.5種類であり、60%が6種類以上の多剤服用をしているという実態があるとの調査結果が発表されました。この多剤処方によりふえていく薬の飲み合わせで、新たな副作用や有害な事象が発生することを「ポリファーマシー」といいます。ある研究によれば、6種類以上の薬を処方されている患者は、それ以下の薬の患者に比べ、副作用が起きる確立が急上昇し、10から15%もの副作用が出やすい傾向にあるとの報告もあります。また、アメリカの研修医向けの書籍では、4種類以上の薬を飲んでいる患者は危険という記述があるなど、世界的にも多剤服用の危険性が知られておりますが、日本では、多剤処方の改善はなかなか進んでおりません。さらに、通院先が多い方の場合、お薬手帳を複数持ち、医師や薬剤師が処方されている全ての薬を把握できず、薬の増加や組み合わせの悪い薬の処方、薬の副作用自体を薬で抑えるなどの悪循環が起こる可能性もございます。

 続いて、残薬については、飲み忘れや自己判断による飲み残しなどによる高齢者にかかわる残薬は、年間約475億円にも上ると言われております。この残薬は医療費の無駄遣いだけではなく、症状の悪化につながるおそれもございます。

 こういった多剤や残薬を是正するため、厚生労働省は昨年5月に「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」を、ことし6月に、同指針の各論編をまとめました。これにより、医師や薬剤師など共同して、医薬品処方の適正性を評価し、減薬や薬剤投与の中止などの見直しを行うことなどを提言しており、具体的な施策としては、お薬手帳とかかりつけ医による適正服薬の推進を行っております。

 所沢市では、節薬バッグ事業の効果検証を平成29年から30年の2カ年間実施しました。節薬バッグとは、節約の「やく」の字が「薬」という字で、ブラウンバッグという名称でも実施されております。患者は、お薬手帳と自宅にある全ての飲み残した残薬をそのバッグに入れてもらい、薬局へ持っていきます。そして、薬剤師が飲み忘れや重複した処方薬や症状の改善で不要になった薬の種類や量、使用期限を確認し、医師に問い合わせて、残薬や重複があれば、新たに処方する薬を減らすなどすることができます。患者が飲み残してしまった残薬は、後ろめたいというか、なかなか言い出しづらいものですが、このバッグにより、薬剤師に相談しやすくなり、適正服薬の習慣が身につき、健康増進につながる契機ともなります。さらに、残薬がうまく調整された場合は、自己負担が減ります。所沢市の検証では、平成30年度は、94名中85名の残薬を調整し、1人約5,300円、合計約47万円の削減効果がございました。また、奈良県の薬剤師会では、今年度、レセプト解析で抽出した重複多剤投薬患者の自宅を会員薬剤師が訪問、アドヒアランスや残薬、副作用などの状況を聞き取り、報告書にまとめ、患者を経由して処方医やかかりつけ薬剤師に報告書を提出し、必要に応じて薬物療法を見直してもらい、不必要な薬の削減につなげる取り組みを始めました。

 それ以外にも、他自治体では、それぞれ多剤服用による害や残薬解消への対策が進められておりますが、戸田市の多剤処方や残薬対策の現状と今後の対策についてお伺いいたします。

◎久川理恵 福祉部長  2、多剤処方や残薬対策について、(1)戸田市の今後の対策についてお答えします。

 適正服薬の推進につきましては、市国民健康保険、埼玉県後期高齢者医療広域連合において、被保険者の健康増進、給付の適正化のための保健事業の一環として取り組んでいるところでございます。国民健康保険では、医療機関への重複受診、頻回受診とあわせて、重複服薬のおそれのある被保険者に対して、電話や訪問による健康相談、訪問指導を行っております。また、埼玉県後期高齢者医療広域連合における取り組みといたしましては、月4カ所以上の薬局で調剤を受けている方を対象に、多剤服用による薬物有害事象に関する注意喚起及びかかりつけ薬局の推奨の通知を行っております。このほかの取り組みといたしましては、戸田市薬剤師会では、お薬手帳の普及活動、かかりつけ薬局の推進、ブラウンバッグ運動に取り組んでいるところでございます。

 今後も引き続き、国民健康保険被保険者への保健指導等を通して適正服薬の推進に努めるとともに、他保険者や薬剤師会の取り組みとの連携について研究してまいります。

 以上です。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。

 薬剤師会さんが行っているブラウンバッグについては、まだまだ単発の施策となっていると伺っていますので、今後さらに広げていただけたらと思います。

 さて、ことし7月に、日本保険薬局協会が3,445の会員薬局の管理薬剤師を対象にオンラインで実施した調査によると、薬剤師から医師などに対して確認を行う疑義照会やトレーシングレポートの活用などについて、薬剤師が積極的に介入しているとの回答は3.4%、さらに、薬剤師が余り介入していないというのは39.3%、介入していないというのは40.7%、その2つを合わせると8割という結果になり、ポリファーマシーの改善に積極的に取り組む薬局は2割との調査結果が発表され、他職種との情報共有に課題がある実態が浮かび上がっています。

 さて、ことし6月に発表された高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)では、医療関係者だけではポリファーマシー対策は実現できず、患者、家族を含む一般国民の理解と協力が不可欠であると強調しています。一般の方のほとんどは、医療、医学、薬学などに明るくありません。このため、自己判断による減薬や中止の危険性に関して注意喚起や、服薬状況を医師、薬剤師に正しく伝えることの重要性についても、市民の皆様に繰り返し理解を求める必要があるかと存じます。お薬でお困りの方が積極的に相談していただくためにも、ポリファーマシーや残薬対策の取り組みについてのお知らせが必要かと考えますが、市の周知の取り組みについてお伺いいたします。

◎久川理恵 福祉部長  国民健康保険の加入者に対するポリファーマシーや残薬対策についての取り組みの周知は、現在のところ実施しておりません。現在、取り組みを進めております重複服薬者への個別保健指導に加えまして、今後は、国民健康保険加入全世帯へお届けしておりますパンフレット「こくほのしおり」に掲載するなどして、適正服薬の推進に努めてまいります。

◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。

 答弁や事前のヒアリングなどのお話を伺う中で、ポリファーマシーや残薬については、国民健康保険対象者は保険年金課、75歳以上は長寿介護課など、市の中でも担当が複数にまたがり、社会保険対象者については協会けんぽなどの管轄です。そこに医師会や薬剤師会が加わり、市から実態や直接的な対策、アプローチをすることの難しさを実感しております。しかしながら、現状として課題がございます。どうか関係各機関、関係団体とのさらなる連携を推進していただきまして、対策を進めていただくようにお願い申し上げて、私の一般質問を終了させていただきます。