(1)コミュニティバスの現状と今後について。
(2)コミュニティバスの利用促進について。
◆1番(矢澤青河議員) 戸田の会の矢澤青河でございます。
通告に従いまして、これより一般質問を行います。
初めに、件名1、コミュニティバスについての(1)コミュニティバスの現状と今後についてお伺いいたします。
戸田市のコミュニティバスであるtocoバスは市民の身近な交通手段として親しまれており、なくてはならない存在です。しかし、増便などの運行の利便性向上に対する要望や運行赤字に対する市の補助など、一般質問や委員会などで何度も取り上げられ、課題も多く挙げられております。今後、急激な高齢化を迎える戸田市において利用者の増加が見込まれると思われますが、近年の利用者数の推移はいかがでしょうか。また、利用者数が増加した場合、利便性向上策を講じることは可能でしょうか、お伺いいたします。
次に、(2)コミュニティバスの利用促進についてお伺いいたします。
以前、所用で出かける際にtocoバスに乗ろうとスマートフォンで検索いたしました。しかし、ふだん利用していなかったことや小さなスマホの画面から時刻表や路線図を解読することができず、地図アプリの経路検索で表示された国際興業バスを乗り継いで移動いたしました。tocoバスは地域住民の公共交通としての性質上、複数の病院や公共施設を経由するため経路が少し複雑となり、ふだん乗られない方にはわかりにくく、交通手段として敬遠されることもございます。平成29年3月に国土交通省から標準的なバス情報フォーマットが発表されました。これは、これまで各社ばらばらだったバス情報のフォーマットをGTFSという形式に定めることで経路検索などの事業者が情報を集約し、インターネットやスマホの地図アプリ、乗りかえアプリとして提供することで、利用者がいつでも簡単にバスの経路検索や情報収集をすることができます。これまで大きなバス事業者では独自にデータ化されておりましたが、中小規模のバス会社や自治体のコミュニティバスではデータ化されず、経路検索できませんでした。戸田市でも国際興業バスでは経路検索可能となっておりますが、tocoバスでは検索できません。
参考資料をごらんください。スマホのアプリで市役所から笹目コミュニティセンターまでの経路検索をしたもので、図1はグーグルマップアプリ、図2はヤフー乗りかえ案内アプリの検索結果です。現在地の戸田市役所からバスで児童センターを経由して笹目コミュニティセンターまで行く経路が時間とともに表示されております。現在、tocoバスは表示されておりませんが、tocoバスのデータ化をすることでこれらのアプリの経路検索結果にtocoバスを表示することが可能になります。路線図や時刻表がなくても気軽に行き方を調べられる手軽さから、現在では電車を利用しているほとんどの方が地図アプリや乗りかえアプリを使用しており、若い人を初め多くの方のtocoバスの利用促進につながるのではないかと考えます。また、導入コストとしてもバス情報のデータ化に係る費用のみです。低いコストで利便性の向上につながりますので、導入してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
◎駒崎稔 市民生活部長 1の(1)コミュニティバスの現状と今後についてお答えいたします。
コミュニティバスの利用者は、平成26年度で31万5,149人、平成27年度で34万4,520人、平成28年度で35万6,610人と毎年増加しており、平成13年の運行開始以来、過去最高の利用者数となっております。
一方、運営面においては年間約1億円の赤字額を計上しており、赤字分の運営経費を市からの補助金で賄っておりますので、今後利用客がさらにふえ、利用収入が増加したとしても直ちに赤字を解消することは困難であると見込まれます。このことから、増便を行うことは現在の収支状況では困難でありますことから、現状の運行形態を維持していくことを基本として、より利用者がふえるようPR等に努めていきたいと考えております。
次に、(2)コミュニティバスの利用促進についてお答えいたします。
お話のありました標準的なバス情報フォーマットにつきまして、日本においては中小バス事業者が運行するバス情報がスマートフォンなどを用いた経路検索の対象とされないことが多かったことから、国土交通省がGTFS形式を応用した共通のフォーマットを作成し、本年3月31日に一般公開されました。これにより中小のバス会社が容易に経路検索事業に参入可能となり、バス情報を拡充する効果が期待されております。
tocoバスにおきましては現在、大手検索サイトのうちジョルダン、ナビタイム、駅すぱあとの3つにおきまして、美笹循環を除いたtocoバスの経路検索ができる状況でございます。スマートフォンによるルート検索が主流となっている現状を見ますと、より多くの路線の情報登録を行い、容易に経路を検索できる環境を整備することで、コストをかけず、より多くの方が気軽にtocoバスを利用できることが見込まれます。このことから、標準的なフォーマットの活用はコミュニティバスの利用促進につながるため、利用価値があるものと考えます。
しかしながら、制度実施からまだ日が浅く、tocoバスの運行会社である国際興業株式会社に確認したところ、標準的なフォーマット活用については、まだこれから検討を行う段階にあるとのことでした。また、利用者へ情報が提供されるにはバス会社などによる元データの作成と、経路検索サイト運営会社による標準的なフォーマットに対応できる体制整備が両立することにより初めて可能になるものと思われます。このことから、大手経路検索サイトの運営会社がどのようにして新しいフォーマットに対応していくのか、状況などを調査しながら効果的な導入について検討してまいります。
以上でございます。
◆1番(矢澤青河議員) 御答弁ありがとうございます。それでは、(1)コミュニティバスの現状と今後について再質問させていただきます。
近年利用者が増加しており、平成28年度が過去最高の利用者となったということですが、利用者がふえていることに対する市のお考えをお聞かせください。また、2年前と比べて約5万2,000人増加、乗車賃100円として収益が約520万円の増加ということですが、バスの増便や逆回りなど利便性向上のために必要な最低限のコストはどのくらいでしょうか、お伺いいたします。
◎駒崎稔 市民生活部長 利用者がふえた要因としましては、tocoバスは運行開始から15年以上が経過し、これまでにも利用促進のためのPRに努めてきたこと、安定かつ安全な運行を継続して行ってきたことから、tocoバスの存在が広く周知され、公共施設を結ぶ公共交通機関としての利便性が認知されてきたためと考えております。
1便をふやす場合に必要となる費用につきましては、概算でございますが、1路線当たり約2,000万円の運行経費がかかります。また、増便に伴い、新たにバスも必要となり、その新規バス車両の購入には3,000万円から4,000万円ほど必要となる見込みでございます。
◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございます。
バス1台の増加にかかる費用が一つの目安となると思われますが、今後利用者数の大幅な増加によりバス1台分の費用が賄えるようになった場合、現在の赤字の削減に努めるのか、もしくは増便などのバスの利便性向上に努めるのか、どちらを優先させるのでしょうか、お考えをお聞かせください。
◎駒崎稔 市民生活部長 tocoバスを継続して運行するためには赤字の削減と利便性の向上はいずれも重要な課題であると考えます。なお、2,000万円の増収は1人100円という運賃から単純計算いたしますと20万人の利用者増となることから、達成はなかなか難しい面もございますが、赤字削減と利便性の向上のどちらも踏まえた効率的な運営に生かしたいと考えております。
◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございます。
利用客数の増加だけではなかなか難しいとのことでした。では、同時に行っていられるかと思われますバス運行経費については、事業者に対してどのように企業努力を促し、経費削減に努めてきたのでしょうか、お伺いいたします。
◎駒崎稔 市民生活部長 この運行経費の中身には、乗務員の人件費、車両の維持費、それから燃料費といったようなものがございますが、事業開始当時からコストの面も含めまして運行業者と話し合っております。今後、事業を継続的に実施していくためにも効率的な運行ができるよう、運行業者とも引き続き協議していきたいと考えております。
◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございました。
続いて、(2)コミュニティバスの利用促進について再質問させていただきます。
現在、tocoバスの美笹循環は、大手検索サイト3社で経路検索ができないとのことでしたが、その理由は何でしょうか、お聞かせください。
◎駒崎稔 市民生活部長 tocoバスの5つの路線のうち4路線につきましてはバス会社が運行しておりまして、路線バスとともにtocoバスの時刻情報も経路検索サイトの運営会社に提供しているため対応が可能となっております。
一方、美笹循環はタクシー会社が運行しており、バス会社としての時刻情報は作成していないため経路検索サイトでの対応ができない状況です。今後、標準的なフォーマットの本格的な活用にあわせて、美笹循環についても、経路検索サイトにおいて時刻検索ができるかどうか事業者とも協議してまいります。
◆1番(矢澤青河議員) ありがとうございます。
データ化のほかに利用促進策として兵庫県明石市では、転入時にバスのお試しチケットつきの路線図リーフレットを配布しております。初めての方へ利用を促し、tocoバスの周知につながるかと思いますが、導入してはいかがでしょうか、お伺いいたします。
◎駒崎稔 市民生活部長 戸田市におきましてはtocoバスの利用促進としまして、転入時にお渡ししている戸田市ライフブックにはtocoバスの紹介記事が掲載されております。戸田ガイドの地図にも経路が記載されております。今後におきましても、転入者にもtocoバスを利用していただけるよう、PR方法などを検討してまいります。また、お試しチケットにつきましては、tocoバスの利用料金はバス運行事業者の運行収入となり、無料券を導入する場合には市が有料で購入することとなりますので、慎重に対応していきたいと考えております。
◆1番(矢澤青河議員) 御答弁ありがとうございました。
全体としてデータ化については前向きに御検討していただくとのこと、大変うれしく思います。今後、このフォーマットに関する情報やデータ作成ツールなどが充実していくかと思われます。tocoバス自体、赤字で運営しておりますので、できる限りコストを抑えてデータ化を実現していただければ幸いでございます。また、バスのデータ化が進んだ際には、バス停やホームページ、路線図の冊子などに経路検索に対応している旨の掲載をお願いしたいと考えております。こちらは要望とさせていただきます。